伊吹有喜:著 『四十九日のレシピ』 を読みました。
気力を失った父・良平のもとを訪れたのは、 真っ黒に日焼けした金髪の女の子・井本。乙美の教え子だったという彼女は、 生前の母に頼まれて、四十九日までのあいだ家事などを請け負うと言う。
彼女 は、乙美が作っていた、ある「レシピ」の存在を、良平に伝えにきたのだった 。
家族を包むあたたかな奇跡に、涙があふれる感動の物語。 ~作品紹介より~
紹介文を読むと、ただほんわかとした作品か。とも思いましたが、そこには捻りがありました。
乙美との最後の会話に対する夫・良平の自責の念。
亡くなってから知る乙美のあれこれ。
何も知らなかった、知ろうとしなかった事への後悔。
良平の娘・百合子の抱える、結婚生活での苦悩。
個性的な井本とハルミ(ブラジル人の男の子)。
ハルミに関してはあまりに突然出てきた感がしないでもありませんが、でもそれも最後に井本とハルミが本当は誰だったのか。
と考える時に、読み手の受け止め方によってシックリとくると思います。
私は・・・
最後に井本が言った「良平さん」という言葉から井本は〇〇だったのだと解釈しています。
ということはハルミは良平と先妻の間の〇なのでしょう。(〇はネタバレになるので)
文中の「わたしたちはテイクオフ・ボードなのだ」という言葉。
親は子の。先生は生徒の。拡大すれば農家、商店はお客さんの。
寂しいと思えば寂しいけれど、誰にも必ず存在意義がある。
そう感じられる言葉です。いい言葉だな~と思いました。
百合子と夫に関する部分はちょっとベタでしょう、出来すぎな気がするけど。。。
と思うところもありましたが、全体的に読みやすく最後は思わずうるうるっとしてしまいました。
一言でまとめると
『寒~い夜にココアでも飲みながら読みたい一冊』 でしょうか