【中古】 夜の子供たち 上 /角川書店/ダン・シモンズ / ダン シモンズ / 角川書店 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】
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≪内容紹介より≫
アメリカ防疫センターの女医・ケイトは、ルーマニアで重度の免疫不全を持つ孤児を見つけた。最新医学によって、彼女はその遺伝子がエイズや癌の画期的治療の鍵だと気づく。だが、その子供はトランシルヴァニアの伝説、ドラキュラ一族にとっても、特別な存在だったのだ…。
ドラキュラの末裔を手に入れた今、闇の一族は公位継承の儀式を急いでいた。一方、奪われた養子、ジョシュアを追って、ケイトはルーマニアに密入国した。呪われた遺伝子を受け継ぐその子を、彼女は最新医学で救おうとするが…。「ローカス」賞、ホラー・ダークファンタジー部門受賞作品。
少し前にヴァンパイア物がブームだったようですが、「トワイライト」でしたっけ。
私は本も映像もいずれも見ていません。対象年齢がもっと若者向きな感じがしましてね。
でも、ヴァンパイア物ってブームとまではいかなくても、常に一定の人気があるようですね。
アニメとか漫画でも、内容は全く知らないけれど名前だけは聞いた事がある。
よくよく聞いたら、ヴァンパイア物だったとか。
私も気にはなるのだけれど、若い頃はとにかく敬遠していました。
だって怖いんだもの・・・
歳を重ねて図々しくなった分、怖さも減ったか?
この本は図書館の書架に並んでいて、タイトルが気になったもの。
表紙もちょっと美術館に飾られている絵画のようで素敵です。
裏表紙のあらすじを見ると、現代まで生き残ったドラキュラ一族と、最先端医療を絡めた話。
(といっても初版が20年前なので、今だとそれなりに治療法が確立されていたりします)
表紙とあらすじがピッタリしたのも借りた要因です。
ドラキュラ末裔の遺伝子が、エイズや癌といった難病の治療に活かすことが出来るかもしれない、
という視点がなかなか面白かったです。
舞台はチャウシェスク政権が崩壊した後のルーマニア。
チャウシェスクも、秘密警察も、国家機関も逆らえない恐ろしい一族、
伝説のドラキュラ一族(ストリゴイ)が現代においても絶対的な力を持ち存続している。
免疫不全幼児のルーマニア孤児(ジョシュア)がその直系とは知らずに養子とし、
彼を取り戻すため、単身ルーマニアへ潜入するアメリカ防疫センター所属医師ケイト。
可愛いジョシュアを救う為、難病の画期的な治療の為、立ちはだかるストリゴイに挑むケイト。
誰が味方で誰が敵なのか疑心暗鬼になりながらも、
神父マルーク、ルーマニア医学生ルチアンと共にストリゴイに立ち向かう。
ケイトの圧倒的な行動力に、軍事訓練というのか特別な訓練をしていない女性が、
こんなこと出来るの?
と、つっこみたくなるところは満載ですが、そこは目を瞑るとします。
じゃなきゃ、こういう話は成り立たない。
直ぐに叩きのめされて、はい、おしまい。になってしまいますものね。
当時のルーマニアの本当の姿なのか、密告者ばかりで3人に1人は密告者。
という言葉が、恐ろしく響きました。 怖いよーーー
そう、ヴァンパイア物というと、怖い。
だけどどこかヴァンパイアに哀愁を感じることが多いのですが、
この話はちょっと印象が異なりました。
生きる為に血を求めるだけではなく、残虐を好むというところがくっきり見えるからかと。
だからひたすら恐れられる存在であり続けた。
背景や設定がそういう感じだったので、後半で恋愛要素が入ってくれて良かったです。
そうでないと、話自体は興味深く先が気になるのだけれど、
私には「楽しい」とか「休まる」という要素が不足して、ただ疲れるだけだったかも。
疲れる要因に、ストリゴイの長であるヴラドの回想があります。
著者が、聖杯部分を除きヴラドの回想はすべて史実であると言い切れると書いています。
そう、その史実の部分がね・・・人物の名前が全くもって読みにくく、
黙読でありながらつっかえつっかえ読んでいる自分に嫌気がさしてくるほど。
もともと世界史に強くないけれど、この辺りがテストに出たら相当酷い点数だと思いますわ。
名前が覚えられないのは目に見えているもの
ラスト、ヴラドが語るエピローグは意外な展開でした。
まあ、絶対に死んでないよね、生きているよねというのは分かっていましたけれど。
ヴラドもケイト側も双方丸く収まったということで、終わり方としては好きなのですが・・・
物語全体が何というか薄暗い紫のベールが掛かっているような印象だったのが、
ラストだけ朝焼けのような感じで、ちょっと浮いている感がして少しだけ残念。
まとまらない感想だけれど、トータルすると面白かったです、はい。