今宵も喫茶ドードーのキッチンで。【電子書籍】[ 標野凪 ]
<内容紹介より>
住宅地の奥でひっそりと営業している、おひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」。この喫茶店には、がんばっている毎日からちょっとばかり逃げ出したくなったお客さんが、ふらりと訪れる。SNSで発信される〈ていねいな暮らし〉に振り回されたり、仕事をひとりで抱え込み体調を崩したり……。目まぐるしく変わる世の中で疲れた体と強ばった心を、店主そろりの美味しい料理が優しくほぐします。今宵も「あなたの悩みに効くメニュー」をご用意してお待ちしております。心がくつろぐ連作短編集、開店。
嫌味のない、疲れた時に1編ずつ読むと良いなと思える作品でした。
誰が語っているのか、絵本のような語り口で始まります。
ずっとこの調子だとやや疲れるかなと思いましたが、これはいわゆるストーリーテラーのようなもの。
疲れや疑問を抱えた人が、都会の森のような場所にあるお一人様専用喫茶ドードーで
本来の自分あるいは新しい自分を見出だしていく。
短編はあまり好みませんが、連作なので細切れのような感じがしないのが良いです。
ちょっと不思議な雰囲気の喫茶オーナー「そろり」。
彼がお客さんにかける言葉がとても良いのです。
1編、2編と読むうちに彼のバックボーンが気になってくる。
それを最後の5編目で回収、ストーリーテラーが誰なのかもここでわかります。
そんな構成も良かったです。