ゴッホ、安井、見てきた~!スゴイ!
わずか10年で2,000点の作品を描き、37歳でピストル自殺した孤高の画家、ゴッホ。生前は、たった1枚しか絵が売れなかった、ゴッホ。今回のゴッホ展の目玉は、「ひまわり」である。「夜のカフェテラス」「糸杉と星の見える道」も素晴らしかった。「ひまわり」は、ふだん日本の損保ジャパン東郷青児美術館にあるので、国内で何度か見たことがある。いつ見ても生きているようで、蠢いているようで気持ち悪い。ゴッホ曰く「質朴なひまわりが感謝を象徴しているにしても、結局僕の絵は苦悩の叫びである」ワシは、リトグラフの小作品「悲しみ」がとても気に入った。当時、ゴッホと同棲していた娼婦をモデルに描いた簡潔な作品である。欲しいと思った。盗みたい衝動に駆られる。そんな事しないが。余談だが、棟方志功の有名な台詞に「わだばゴッホになる」という言葉がある。尤も棟方は、ゴッホになれず、「世界の棟方」になったが。さて、安井曾太郎である。安井は、ワシが画学生のころ、安井の木炭デッサン集を見て、ぶったまげた人である。もうダメだ!こりゃ勝てん!凄すぎる!それも安井19歳のときの作品である。もう感動と失望がいっぺんにきた。あまりに感銘を受けたので、貧乏な画学生ながら、そのわずか6枚のデッサン集を○万円もはたいて買ってしまった。今も大切に持っている。そのデッサンが展示してあったので、もう大感激!本物ですよ!本物!ううっこんなデッサンができるなんて、それも19歳で!天才だ!間違いなく天才だ!肖像画を描く時、安井はその優れた写実力で、まず丁寧に描き、なんとその絵の上から絵の具を塗りたくり、安井独特のデフォルメを施していくのである。もったいないと言うか、それが日本の近代洋画史の頂点に立った画家の手法なのである。2枚描いたらよかったのに~と下衆な考え。安井は、デフォルメする以前の写実画も写真におさめているので、2枚の作品の違いがよくわかる。展覧会場に写真と解説があるので、愉しめる。素晴らしい作品ばかりだが、ワシは「ポーズせるモデル」と「女と犬」が好きである。しかし、ゴッホも安井も基礎のデッサン力は、秀逸でさすがに天才肌であるということが、すでに感じられる。なんでも基礎は、大事だねえ!なお、ゴッホ展は愛知県美術館、安井曾太郎展は三重県立美術館でどちらも9月25日まで。芸術の秋、ぜひ、みなさんに見に行っていただきたい。