勘太郎君、早く良くなってね~十八代目中村勘三郎襲名披露~
design++dalu++楽しみにしていた襲名披露。勘三郎さんになった勘九郎さんのお披露目勘太郎君と七之助君との共演。ずっとずっと楽しみにしていたのに勘太郎君怪我の為、休演。演目は「義経千本桜」から「木の実、小金吾討死、すし屋」千本桜は狐忠信をよく見るけれど今回の「いがみの権太」を見るのは初めて。ちょいワルおやじの権太を勘三郎さん。死んだと思った平維盛が生きていたと聞いて高野山まで逢いに行く妻子を護る小金吾が勘太郎君。匿われた維盛に想いを寄せるお里に七之助君。の予定だったけど、兄貴の代打で小金吾とお里両方を七之助君。優しげな顔だちの、華奢な体つきだからキレイな女形なんだけどホントは運動神経抜群の七之助君は14人もの追手を相手に大立ち回り、するも敢えない最期次の幕ではうって変わって可憐な娘役。重たい桶を軽々と運ぶところのコミカルさも愛しい維盛(正体は知らなかったけれど)を想うあまり甘えたりすねたりのいじらしいところは達者!恋しい人には妻がいることがわかったあと、更には兄がその維盛親子の為に父の手にかかる悲しい場面は終始、顔をあげなかった。お里にキュンとは言え、短い期間に小金吾役もマスターし、魅せてくれたのはさすが!小金吾討死はザンバラ髪の小金吾が一幕ほとんど立ち回り。捕手が四方、八方から投げる縄が蜘蛛の巣のように絡んだかと思うとその張った縄の上に乗る場面もあってなんとも見せ場のある役だけどバランスを崩したら真っ逆さま。そこを頑張ってお稽古しただろうに勘太郎君(T_T)やっぱり小金吾は勘太郎君で観たかった。う~ん、平助~。観たかったぞぉ!早く治ってくださいね。(あれ、もしかしたら落ちたから怪我したのかな?)いがみの権太は小金吾からお金をだまし取る悪いんだけど憎めないヤツ、こういう役は絶品!!最後、権太は改心し、親孝行で忠義者になるけれどそれを知らない父の手にかかり息を引き取るといういかにも歌舞伎らしい見せ場のたくさんあるお話。悪人が実は善人だったと明らかになる役をもどりと言うそうなんですが、権太はその代表。ただ、最後権太が刺されてから真実を語る感動的な場面が長すぎた気がしたんだよね。それは私の現代的セッカチによるものだと分析。なぜって?だって、親孝行で忠義者!ごんぎつねのごんが届けものに来たのにいたづらと間違えられて撃たれるように、今までの親不孝を詫びて親を喜ばせようと親が匿っていた維盛親子を助ける為に自分の妻子まで犠牲にしたあはれ権太です。それなのに実は権太がそこまでしなくても維盛は助かったと最後に知ることで江戸の昔の善男善女は涙にむせたことでしょう。「いたわしや」「不憫じゃのう」「ああ、権太死んではならぬ」大河ドラマの時によくある助命嘆願の投書のごとくファンの願いに作者がおされ、(小町娘が紅涙を絞ってのお願い)オシマイを引き延ばしたのはないかしら。けれどわたしにゃ、親孝行はわかっても忠義は理解できないから長く感じてしまうのではないかしらん。それにしても維盛親子。権太親子が権太絶命までの涙、涙の場面でお雛様のように整然として微動だにしない。当事者なのに。「うちの家族のためにゴメンね」って身分が違ったら言わないのがフツウなのかな。 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・勘三郎さん、これから日本中を回るんですよね。小さな町で待っているお客様に喜んでいただくために。昔からの小さな芝居小屋でお披露目するために。仲良しの鶴瓶さんに「わしがやりたかったのに」と悔しがられたそうですよ。土地の人と仲良くなるためになるべく食事も地元の商店街にするそうですのでこれから勘三郎さんが立ち寄る先の皆様はお楽しみに。2006年6月30日 十八代目中村勘三郎襲名披露 全国公演※歌舞伎を観始めの頃なので、今より更に他愛のない感想ですが、あえてそのまま残します(^^)/