ききやまきっき

　「お前には収入がない。だからタマキの親権、
お前にはないんだよ。」

　別に喧嘩の最中でもなかったのですが、何気に
夫が私に言った一言です。

　当時私は職を持たない完全な専業主婦。タマキ
を育てることと家事に専念する立場にありました。

　悪気はなかったのでしょうが、この夫の発言
にとても傷ついた私。親権は別として、確かに
収入はなく、夫に依存してる人生だよな…と
思いました。
　と同時に、「家庭に入って育児と家事に専念
して欲しい。だから仕事は辞めてほしい。」と
言ったのは夫自身じゃないか、という憤りの感情
が湧いたのも事実です。

　それ以来、私は変わりました。
「他人に依存する人生ほど面白くも楽しくもない
人生はない」と。

　安穏と専業主婦をしているフリをして、再就職を
するべく着々と準備を進め、親にも夫にも相談せず
に就職を決めました。

　夫は転勤族。故に単身赴任を余儀なくされ、パパ
っ子のタマキが寂しい思いをしているのも事実。
親戚からも姑からも非難の嵐でした。

　夫の妻、タマキの母親であることに変わりありま
せんが、同時に私自身の人生であることにも変わり
ありません。

　こんなこと、細木数子が聞くと激怒すること間違い
なしですね。
でも、別にいいです。細木数子、嫌いですから。