カテゴリ:歌舞伎
歌舞伎座の昼の部には、坂東玉三郎丈、ご出演ということで、
とことこ出かけて参りました。 ○竜馬がゆく(りょうまがゆく) 風雲篇 昨年の秀山祭で初演され、第三十六回大谷竹次郎賞を受賞した作品の続編で、おなじみの司馬遼太郎原作作品。 今回は、1864年の池田屋事件の後、神戸海軍操練所(幕府海軍塾)での塾頭としての仲間との別れと挫折、蛤御門の変の騒ぎを経て、後の妻・おりょうとの出会いに、薩摩の西郷吉之助と会い薩長同盟に成功するも、1866年の寺田屋で幕府の役人の襲撃を受け、おりょうの機転で命を取り留めるまでの話。 短い上演時間(1時間15分しかない)の中で、上記の物語を舞台転換をくししながらテンポよく簡潔に見せる脚本・演出の齋藤雅文の手際が見事である。 池田屋事件を手短にみせ、装置が飛ぶと黒い引き幕が割れて、スモークの中からライトに照らされた龍馬のシルエットが浮かぶという幕開きにはじまり、姉の手紙を読むうちに神戸海軍操練所の場になり、今度は、姉への返事をしたためる内に舞台が回り、京は伏見へ下る道へ転換していく。無理なく自然で、実に鮮やかな手腕である。 出演者では、亀治郎丈のおりょうが、勝ち気で奔放でありながら、めちゃめちゃ可愛いく観客の目と心をひきつける。そして、竜馬は、こんな可愛くて勝気な娘のおりょうに惚れられる、男としての大きな器を持っているのである。 私的には、竜馬とおりょうの出会いから二人が結ばれるまでの物語・・・と言っていいほどの良いコンビ(染五郎&亀治郎)振りであるので、もう少し、二人のしっとりした場も見たかった(来年、この続編を期待)。 しかしながら、その他の配役もなかなかよく(特にお登勢の吉弥丈には、ほれぼれ)、ニンではない西郷吉之助役の錦之助丈にもう少し存在感が出ればと思える舞台であった。 坂本竜馬 染五郎 おりょう 亀治郎 寺田屋お登勢 吉 弥 中岡慎太郎 松 緑 西郷吉之助 錦之助 ○ひらかな盛衰記(ひらかなせいすいき) 初代吉右衛門所縁の義太夫狂言を、現在の時代物の第一人者である吉右衛門が、演じる。彼の名調子のセリフ回しの見事さは、気持ちがよいほどである。 私的には、逆櫓の稽古の場の漁師の三人(歌昇、錦之助、染五郎)は、ごちそうで、観ていて楽しかった。 逆櫓 船頭松右衛門実は樋口次郎兼光 吉右衛門 お筆 芝 雀 漁師権四郎 歌 六 船頭明神丸富蔵 歌 昇 同灘吉九郎作 錦之助 同日吉丸又六 染五郎 松右衛門女房およし 東 蔵 畠山重忠 富十郎 ○日本振袖始(にほんふりそではじめ) 八岐大蛇退治の神話をもとにした重厚な義太夫舞踊。 前半の見どころは、 美しい赤姫姿で登場した岩長姫(玉三郎)が大蛇の本性を現して瓶の毒酒を飲んでいくところが見所のひとつか。 呑めば酔うほどに、赤姫姿でありながら蛇体の本性にめざめていく姿が、妖気をはらんで、なかなかすさまじい。 大薩摩の後、 後半は、大蛇の姿を表し、口は真っ赤に裂け目は血走る隈取りに変身、分身の大蛇たち(玉三郎と同じ拵えの七人の大蛇の分身)を従えての登場は迫力満点。 この7頭の分身たちが、蛇身をあらわす所作で、一糸乱れず舞台をうねる姿がおもしろい。特に孤軍奮闘の素盞鳴尊を蛇身に巻きつけようと襲い掛かる姿は迫力満点。 素盞鳴尊・染五郎丈と福助丈も美しく、充実した舞台であった。 岩長姫実は八岐大蛇 玉三郎 素盞鳴尊 染五郎 稲田姫 福 助 本日のきもの:30度近い暑さのため、本日も夏物。 レース編み風のコート地を単衣に誂えてものであるが、あまり透感がないため、この時期にぴったりかもしれない。 帯は、夏紬の名古屋帯。実りの秋の稲穂柄である。 帯留は季節の葡萄、銀細工に真珠のブローチを流用する。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 23, 2008 08:53:56 AM
コメント(0) | コメントを書く
[歌舞伎] カテゴリの最新記事
|
|