カテゴリ:演劇・コンサート・ミュージカルなど
「コーストオブユートピア」シアターコクーン(渋谷)の通し10時間30分(休憩含む)を観てきた・・・いやぁ~~長かった。
終演後の帰宅途中・電車の中で気分が悪くなったのだか、 この疲れは、舞台を観ていて、だんだん感情移入できなくなり、 エピローグの膨大な長台詞にも共感することなく終わったからかも知れない。 (ごめん、阿部ちゃん) ロマノフ王朝専制下の19世紀ロシアのインテリゲンチャ達 (貴族や大地主の息子達でもある若き知識人)は、西ヨーロッパの感化を受けて、 祖国・ロシアの自由を押さえ込む悪しき専制政治と農奴制の廃止を目指すが・・ ・・それは、決して、労働者や農奴たちと共に行うものでは無く、何不自由のない亡命生活(共同生活での不倫騒動が一部・二部ともある)の中で、理想を追い求めようとする現実感の無さに、何とも違和感が募ったというのが正直なところである。 例えば、パリに滞在しながら他の革命の支援に行くためには旅費がいる・・ 「親父が農奴を2.3人売り払えば、旅費が手に入るのに、それをしてくれない!!」 と怒る名門貴族バクーニン家の革命家・ミハイル(実在の人物である)の台詞。 何ともである。 西ヨーロッパは、今でも階級社会なので、この作品をどう捉えたのか・・ 07年トニー賞で最優秀作品賞を含む主要7部門を制覇したのだそうであるが・・? 最後に、思想家・ゲルツェン(実在した思想家)が、彼が望んだ理想的な革命など無いと気付きながら、それでも前進しなければならないと解く姿は、ある意味・ピエロ的にも見えましたな。しかし、ゲルツェンは、本当に大金持ちだったんですね。ちなみに彼のことを大富豪の革命家と揶揄?する台詞もありました。 衣装・装置・照明はシンプルでありながら美しく、第一部のバクーニンとその家族、両親と四人の姉妹の雰囲気は魅力的。 特に、長女を演じた元・雪組トップ娘役の紺野まひるの立ち姿は美しく、衣装捌きもさすが。 一部から三部にかけて、魅力的な母親、愛人マリア、家庭教師の三役を演じた麻実れいの口跡の良さと存在感は特筆に値するかも。 舞台は、通常の舞台側に設けられた客席と本来の客席で挟む形に 長方形で設けられていている。役者達は、通常の客席から観た下手や上手側、 客席の4つの通路を頻繁に使って出入りするため、一階席の観客にとっては、 役者が間近に見られるため臨場感はあったかな(一階のE席でした。) 特に女性人のドレス姿は、色遣いや生地、レースも上品で素敵でしたね。 そうそう、パリの二月革命から1832年6月5日に勃発する六月暴動の挿話があったため、個人的に「レミゼラブル」を再演の度に観ている私にとっては、ツルゲーネフ役で出演している別所哲也(ジャンバルジャン役)が、いつ歌い出すかとちょっと期待をいだいたりもしたんですが、残念ながら・・(笑) まぁ、最後まで観た自分自身と長丁場を頑張った出演者にお疲れさまと言ったところかも。 プログラムを購入していないので、それを読めば、労働者な私も、もう少しインテリゲンチャ のことが理解できたのだろうか? どちらかというと山場がないため坦々とした感じで、二部前半は少し記憶が飛んだ場もありました(^^;; 最後に、ゲルツェンは、女運が悪いなぁ・・・(-_-;; 「コーストオブユートピア」 第I部:VOYAGE「船出」 第II部:SHIPWRECK「難破」 第III部:SALVAGE「漂着」 作:トム・ストッパード 翻訳:広田敦郎 演出:蜷川幸雄 出演: 阿部寛 アレクサンドル・ゲルツェン(思想家) 勝村政信 ミハイル・バクーニン(バクーニン家の長男。革命家) 石丸幹二 ニコライ・オガリョーフ(詩人、ジャーナリスト) 池内博之 ヴィッサリオン・ベリンスキー(文芸批評家) 別所哲也 イワン・ツルゲーネフ(作家) 長谷川博己 ニコライ・スタンケーヴィチ(哲学者) 紺野まひる リュボーフィ(バクーニン家の長女) 京野ことみ ヴァレンカ(バクーニン家の次女) 美波 タチヤーナ(バクーニン家の三女) 高橋真唯 アレクサンドラ(バクーニン家の四女) 佐藤江梨子 ナタリー・バイエル(バイエル夫人の娘) 水野美紀 ナタリー・ゲルツェン(ゲルツェンの妻) 栗山千明 ナターシャ・オガリョーフ(オガリョーフの妻) とよた真帆 エマ・ヘルヴェーク(ヘルヴェークの妻) 大森博史 ニコライ・ポレヴォーイ(「テレグラフ」誌の編集長) 松尾敏伸 ゲオルク・ヘルヴェーク(急進派のドイツ人詩人) 大石継太 ニコライ・サゾーノフ(ゲルツェンのサークル) 横田栄司 ニコライ・ケッチェル(ゲルツェンのサークル) 銀粉蝶 バイエル夫人/マダム・ハーグ(ゲルツェンの母親) 毬谷友子 メアリー・サザーランド(オガリョーフの愛人) 瑳川哲朗 アレクサンドル・バクーニン(バクーニン家の家長) 麻実れい ヴァルヴァーラ(アレクサンドルの妻) 本日のきもの:単衣の片身代わりの絞紬訪問着(結構有名な染色家だったような)にチェックの名古屋帯、古い陶器の紅葉で初秋の雰囲気を。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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