きものあれこれ大和撫子　　★楽天バージョン★

先日、子供の習い事の先生のお嬢様が御結婚されたそうで、
そのときのお話を伺いました。

ホテルで先生の留袖、花嫁様のお支度（振袖の持込）と
更に別のお嬢様の振袖の持込でお願いしたそうで、

一応、事前に言われたとおりに小物をそろえたそうですが
やはり着物の心得がないので、どれがどの小物かわからないし
どうしたらいいのかも分からなかったそうです。

紐は一人につき５本といわれて用意したのに
「これだと足りない」と追加で買わされたり
（う～ん、これはいくらなんでも着付師の腕が悪いぞと思ったけど）、
半衿をどう付けたらいいかわからなかったらしく
「半衿も付いてないんですか」
「あれもたりない、これもたりない」と
文句タラタラ言われてしまったそうです。

先生は折角のハレの日だから、せめてお嬢様方には
嫌な思いをさせないように
「すみませんでした」と、何か言われる度に謝って、
最初に心づけを渡したそうですが、後からも追加料金に加えて
更に封筒に包んだそうです。

でも、この日のことを思い出すと、
自分がいかに不備だったか、着物のことを知らな過ぎたか、
悲しくなってしまったそうです。

このお話伺って、
そのホテルはかなり有名なところではありますが
着付師は最低だな・・・

もちろん、私もお客様と接する際に
ご用意いただいた小物を見て愕然とすることがあります。
足りない、壊れている、使えそうにない小物だとか、色々と。

でも、小物のせいにしてはいけないし、
決してそれらの不満は心のうちにしまっておかないと
いけないと思うんです。

だから、お客様に対して
「あれもたりない、これもたりない」と言うのはプロではありません。

今、かなり年配の方でも、着物のことを知らない人が多いです。
だからこそ、知らなくても仕方がないと思って
こちらが対処しなければいけないんです。

着物のことを知らない人は、着付けに対しても不安をもっているでしょう。
「小物足りるかな？」
「これでいいのかな？」
「着付ってどうなっているのかな？」

だからこそ、安心して着物を着ていただけるように
細心の注意を払って、相手を気遣って着付けをするべきだと思うのです。プロならば！

先生のお話を伺って、同業者として悲しくなりました。

ちなみに、私は今、お客様と接するときには必ず１つ以上、
何か誉めるようにしています。
そうすると、お客様も安心しますし、楽しい気分になりますし、
また着付けをする上で「これが足りないな・・・」と不満を感じたと
しても、私自身が相手のいいところを口にすることで、不満が薄らぎます。

小物が足りない・・・
明らかに足りないものがあって着付けが難しいってことは
ないとは言いませんが、
出来る限り技術と知識で工夫して、あるものを最大限に使って
着付けをするのがプロだと思います。

でも、これが出来る着付師は少ないでしょう。
そのためには、習ってきた学校の単一的なやり方では対応できないからです。

色々な着付けの方法を習得すること、
臨機応変な対応が出来るだけの知識と技術を身につけることが
着付師として求められることだと思っています。