路面電車を守った労働組合
最近読んだ本です。かなり前から書棚に眠っていたものを引っ張り出してきました。実はまだまだ埃をかぶったままの本が多数あります。日の目を見るのはいつのことやらさて、本書は契約社員の正社員化を進めた広電労組の話がメインにまとめられているものと思っていたが、ある運動家(小原保行氏)の生涯を書いた伝記のような内容でした。今では珍しい本物の労働運動家である。路面電車を守った労働組合 [ 河西宏祐 ]価格:2,100円(送料込)一部を抜粋引用させていただく。新入組合員のなかには「闘争の尊さ、苦労を知らない」「労働組合の有難味をわからない」「生まれながらに権利を持っている」という層がどんどん増えてくる。この層の「わがまま」に小原も頭を悩ませていた。「闘いとったものだという認識がない」から「権利を粗末にする」そのことに、小原は「警戒心」を強めていた。(中略)小原の仕事ぶりは激務としかいいようがなかった。絶えず発生する労使関係の矛盾や労働者間の矛盾の解決に奔走して、心身の休まる暇もなかった。神経のすり減るような組合活動、それは走っても走ってもゴールの見えないマラソンレースのようなものだ。正規の労働時間と残業の区別もないエンドレスの仕事。土曜・日曜ともなれば、いっそう数多くの地域や平和運動の集会が入る。1000人を越える組合員からしょっちゅう持ち込まれる、ありとあらゆる苦情や相談。そのうえ、何であれ、一言文句をいわずに気のすまない組合員たち。家庭生活は犠牲になる。本人が誠実であればあるほど、組合幹部の仕事はこの世で最も過酷な仕事のひとつである。まぁ、組合役員経験者ならよく理解できる。素晴らしい運動家であり、大先輩である。微力ながら、われわれも後に続きたいと思う。