|
カテゴリ:気まぐれ業務日誌
『きむぽんちゃん、ちょっとちょっと!』
前日、受付のメッセンジャー役だったおいらを、後方入力業務担当の同期さんが手招きして 呼ぶではないか。 な、何事??? 同期さんに近寄ると、、、 同期さん:「今ね、外来入力してるんだけど、セクスィー先生から電話で『処方チェックして!』 って言われたんだけど。これ確認してくれる?」 さてさて、処方チェックとは・・・↓ まず、処方とは、医師が患者さんにお薬を服用させる場合、どのくらいの用量(1日3錠とか1回2gとか)を、いつ服用するか(服用時点といって、朝の食後とか毎食前とか)、決めること。 処方する場合、薬は一種類とは限らない。1種類や2種類の場合もあれば、それこそ10種類を超える場合もある。 でもって、その種類数とは、当然銘柄(商品)に拠ってカウントするだが、ここで問題があって、 【外来患者さんに対して、たくさんの種類のお薬を一度に処方した場合、お薬の値段を10%引きにして会計しなさい!】 って厚労省が決めてしまっているのだ。 保険医療機関は、どこの医療機関に掛かっても同じ治療であれば同じ料金でなければならない! だから、診療報酬点数表というものがあり、どこの保険医療機関もその点数表に沿って算定することになっている。 そして、お薬も当然だけど薬価という算定価格(点数)が決まっている。 医療機関は患者さんに対しては薬価という同じ価格で処方調剤するのに対し、薬屋(卸)からの納入価格は、薬価の90%なら良いほうで、最近ひどい時には94%なんてシロモノもあるくらい。でもって、当然それに消費税もかかるわけで・・。。。 だから、薬価差益という医療機関の儲けもあった時代は、昔の話。。。 たいした値引きもないお薬を、薬価の10%も引いた額で患者さんに処方して御覧なさいよ! もうそれって完璧な逆ザヤやん!! だけど、決まりだから仕方ない!!多剤処方の際は、こういう悩ましい問題が出てくるのだ。 が、これにも実はカラクリがあってね! ちゃんと診療報酬点数表の決まりに沿って処方を算定したとしても、値引きしなくても良い方法があったりなんかしちゃって!(もちろん違法ではないよ、薬価とか服用時点とかの関係で、数種類の薬剤をまとめて1種類とみなしても良いという決まりがあるのだ。)それには、しっかりとドクターの処方の内容を見極めて、診療報酬に照らし合わせる作業が必要なのだ。 さて、そんな理由で、ドクターの処方をチェックするのが、おいら達医事課の仕事だったりもするのだが・・・、ずっと前職で入院を担当していた同期さんと、かたや、ずっと前職で外来を担当していたおいら。でもって、尚且つ、購入薬の選定等も業務の一環だったおいらからすると、そりゃこういう作業はおいらの得意分野と言って良いわけで。。。 常勤医も、ドクターに拠ってはこの多剤投与のことを気にするドクターも居て、診療中に診察室から『処方チェックしてくれる?』と言って事務所に電話が掛かり、ドクターが診察室の電子カルテから、事務所の医事コンピュータに飛ばしてきたデータをパソコン上で確認し、『ここの処方をこうこうこうしたら、問題解決です!』とか、『この処方だったら問題ありません。』と返事をするのだ。 で、おいらの場合、ドクターからそのような電話を受けると、医事コンピュータの目の前に居て、尚且つ医事コンピュータをすぐ操作できるような状況であれば、そのまま電話がドクターと繋がったままで、データを取り込んで処方を確認し、その場で回答をするのだが、同期さんの場合は、一旦電話を切り、確認してから電話を折り返すことにしているようで・・・。。。 だから、処方確認の自信の無いらしい同期さんから、冒頭のようにおいらが呼ばれたわけなのだ。 おいら:「また処方確認?多く出しすぎなんじゃないのー?」 同期さん:「確認してくれる?今医事コンピュータに取り込んだんだけど、これだと減算(=値引き) だよねぇ。」 おいら:「んーと、ちょっと待って。。。」 今回からまたしても新しい処方薬が出てしまった患者さん、こりゃホントに大量処方だよなぁ。 うーん、困ったなぁ。しかも、薬価の高い薬も多い。これを減算(=値引き)するってのも痛い 話だけど・・・・、んと、ちょっと待てよ! 同期さん:「どう?なんとかなりそう?」 おいら:「うん、たぶん、いけると思う。えっとね、おいらが言うとおりに医事コンピュータを操作して くれる?まずは、○錠を●錠と一緒にしてもらって・・・。」 なんていって、同期さんの医事コンピュータの前で指示をしていると、待ちくたびれたのか、 心配してなのか、セクスィー先生が事務所へわざわざ出向いてきたよ。 セクスィー先生:「どう?何とかなるの?」 おいら:「たぶん、なります!」 セクスィー先生:「どう(処方)したら良い?」 おいら:「●錠を今のところから動かします。そして服用時点が一緒の○錠と△錠と括ります。 でもって、用法コメントを新たに追加してもらえれば、ほら、問題解決ですね。」 同期さんに医事コンピュータを操作してもらいながら、コンピュータの画面上でセクスィー先生に 説明すると、、、 セクスィー先生:「さすが!」 おいら:「はい?」 セクスィー先生:「エキスパートだなぁ。」 ・・・・それって、一応、褒め言葉???? ただ単に、しょっちゅうセクスィー先生のとんでもない処方に引っかかって、それを修正依頼 しまくっているから(先生からしたら、ダメ出しくらいまくっている!?)ってだけだろー。 そのわりには、おいらが次回からの処方修正依頼をメモして添付したときは、いつも華麗にスルー するくせに!! んとに、同期さんの時はわざわざ事務所にまで出向くって、この差はなんなんだよ!! それでも、この日のセクスィー先生は、臨時外来だったから、数名の診療だけだったため、これ だけですんなり診療は終わったわけだが、、、、。 次の日、セクスィー先生は朝から晩まで外来診察室へ拘束の日、でもっておいらは後方で外来 入力担当日。 つまり、何度も何度もセクスィー先生からのこういった電話を受ける羽目に。。。 だけど、最終的には、、、 セクスィー先生:「あの、○○さんの処方だけど、こればっかりはどうしようもないから。次回 考慮するから。今回はこのままにして。」 処方薬を追加せざるを得ない患者さんが多くて、先生にしても減らしたいのはヤマヤマだけど! って状況だったようだ。 この日の一番最後の患者さんなんて、 セクスィー先生:「この患者さ、ホントは院長の患者だから、わたしじゃ分からんから。今回は このままで、次回の院長に処方確認してもらって。」 だって。。。 そ、そりゃ、ドクターからこう言われたらさ、おいらだって、 おいら:「了解しました。」 って言うしかないじゃん。 おいら:「ってことでですね、今日はセクスィー先生にまんまとやられちゃいましたよ。」 先輩:「何で?」 受付担当で、この日は外来入力は一切ノータッチの先輩に愚痴ってやったさ。 おいら:「敵(←セクスィー先生)も考えたもんですよね。駄目だし食らう前に先手必勝で電話して きて先に断るんですもの。」 先輩:「へー、そうきましたかぁ。」 おいら:「そんな卑怯な手ってありなんですかねぇ。」 先輩:「きむぽんさんの駄目だしが怖かったんじゃないですか?」 ・・・・事務員の駄目出し如きにビビるドクターなんて、話になんねー。。。 そんなんだったら、エキスパートだなんて言って事務員を持ち上げるのやめてくれってんだい! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009年02月25日 23時11分11秒
コメント(0) | コメントを書く |