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カテゴリ:気まぐれ業務日誌
『J錠を定期処方されている患者さんに、DM(糖尿病)の検査をしたらどうなります?』
こんな問い合わせ電話を、5病棟の師長から受けてしまったおいら。 おいら:「えっとJ錠はDMには禁忌ですが、血糖検査程度なら問題ありません。」 師長:「では、ヘモグロビンA1cは?」 おいら:「それは、保険では切られてしまいますので、不可です。」 師長:「ドクターに電話変わりますので、話してもらえます?」 え?ドクターからの質問なの?な、なんでそんな・・・。 ってか、ドクターって誰だよ!?まさか、副院長とか???? そ、そんな専門的な話、おいらに振らないでよーーー!! 焦って、受話器を持ったまま引き出しにある資料を漁り、ドクターとの会話に備えたところ、 電話に出たのは、な、なーんだ、非常勤の伊達めがね先生かい!!! 医者を格付けするわけじゃないけれど、そ、そりゃおいらにしたら、副院長や診療部長に 比べたら、話しやすい伊達めがね先生となら、微々たる知識でも気楽だよね! 伊達めがね先生:「あのね、実は血糖値が微妙に上がってきてて。だから検査したいんだ。」 おいら:「J錠を飲んでる患者さんにヘモグロビンA1cを?」 伊達めがね先生:「そう。」 おいら:「ヘモグロビンA1cは確かに確定診断には必須ですが、保険では確定病名でなければ ならないんです。ということは、その検査とJ錠を一緒のレセに載せることは不可能なんです。」 伊達めがね先生:「実際のところ、DMかどうか微妙なんだ。」 おいら:「つまり、境界域ってこと?」 伊達めがね先生:「そう、保険でダメならどうすれば良い?」 おいら:「検査を実施しても、検査の保険請求を諦めるしかないということになるかな。」 伊達めがね先生:「そうなんだ。」 おいら:「それか、J錠の処方をやめる。別剤に切り替える。」 伊達めがね先生:「それは出来ない。J錠は止められない。」 おいら:「でもだったら尚更、検査でDM確定したら、禁忌薬であるJ錠は処方は出来ないよ。」 伊達めがね先生:「薬に拒否反応があって、他の薬は飲んでくれないんだ。でも、まだ急性期 だから、薬を止めることは出来ないんだ。」 おいら:「なるほどー。そりゃ厳しいね。」 伊達めがね先生:「他の先生って、こういう場合はどうしてるの?」 おいら:「ぶっちゃけると、DMの病名があるのにJ錠を処方されちゃってる患者はいた。」 伊達めがね先生:「え?いるの?」 おいら:「うん、院長の患者さん、でも、『J錠はDMに禁忌じゃない。』って言い張られた みたいで。」 伊達めがね先生:「で?」 おいら:「とりあえずレセ上は傷病名からDMを消した。で、検査しても保険請求しないことに。」 伊達めがね先生:「それで良いの?」 おいら:「いけないに決まってるでしょ。一応、その後検査技師さんから話してもらった。」 伊達めがね先生:「他には?」 おいら:「セクスィー先生が、やっぱり境界域の患者さんに検査しようとしてたよ。」 伊達めがね先生:「それはどうしたの?」 おいら:「『どうしてもJ錠は治療にははずせない。ヘモグロビンA1c検査は当面しない。』 って方針になった。定期的に血糖検査はしてるから、数値が上がってきたら再考するとは思う。」 伊達めがね先生:「うーん。どうしよう。」 おいら:「検査したってよいと思うよ。だって、確定診断には必須だもの。オーダーしたら 事務所に連絡くれれば、その検査に関しては保険で落とすから。」 伊達めがね先生:「・・・だったら、見送る。」 おいら:「検査しないの?確定させたくないってこと?」 伊達めがね先生:「うん。数値的にほんとに微妙だから。」 空腹時血糖値は、確かに微妙な数値だった。こりゃ伊達めがね先生も悩むとこだよね。 ホントは、検査したいんだろうなぁ。 保険でのシバリがあるから、こういう場合は厳しいんだよね。 その後、外来に降りてきた伊達めがね先生にもうちょっと詳しく聞いてみると、 現状でも液剤でこっそり服用させている薬もあるようなのだが、どうしてもJ錠を外すことは 厳しいようだった。血糖の数値は気になるが、境界域には違いないのでもうちょっと様子を みることにしたようだ。 おいらの担当する患者さんではなかったけれど、 先月他医療機関からの紹介で、副院長に指名され伊達めがね先生が初診から担当した患者さん なんだよね。 伊達めがね先生にしたら、ベストな治療をしたいよね。 おいらは治療にはタッチしない医事の立場だけれど、でもこういうドクターからの質問には、 的確に回答できる知識をちゃーんと備えておかないとな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009年06月14日 22時01分59秒
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