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カテゴリ:気まぐれ業務日誌
『知り合いの先生からうちに来ないかと頼まれて、悩んでいます。
ここを辞めないと引き受けることは出来ません。』 昨夜、友達のバースデーディナーに出掛ける直前に入ってきたメール。 それは突然のことだった。 だってメールの主は、この日の外来でも会ったし、ランチのとき食堂でも一緒になり、 午後に医局でもすれ違ったのだから。。。 『ここは来春から常勤医師が増えます・・・。過剰な医師は不要です。』 まるで、自身が不要だといわんばかりのメール。。。 それは、非常勤のI先生からのメールだった。 『頼まれた所はかなり困っているよう。さてどうしようと思うのですがなかなか言い出せず…』 こんなメールをもらったからって、さてどうしたらいいんだよ? おいら、今から出掛けるんだから、友達待ってるんだから。。。 勿論、I先生もこの日の夜は、別のクリニックの新年会のはずだ。 たぶん、クリニックの新年会に向かう道中か、始まる前の時間でメールをくれたのだろう。 だから、すぐ返信が欲しいわけじゃないはずだ。 おいらはとりあえず、返信せずに自宅を出て友人と合流した。 ・・・が、当然だけど、おいらの気持ちはブルーだったさ。 バースデーディナーだからお初のイタリアンへ行ったは良いが、 美味しい料理を前にしたって、どうやってもテンションは落ちていたよ。 だって、I先生がうちの病院を辞めるって知ったんだから。 来月か再来月かは分からないけど、 でも、誘いを受けるにはうちの病院を辞めなきゃならないって言ってるんだから、、、 両立は無理なんだから。 非常勤だから、毎日勤務してるわけじゃないけど、 昨年秋からバド部に参加するようになって、 メル友になり、たまに飯友になり、 そしたら妙にウマがあった。 いつも、仕事の話は白熱した。 患者の話、看護の話、事務所の話、医局の話、病院の話、 問題点も、良いところも悪いところも、それこそいろんな話をした。 そしてI先生の仕事は、医事課のおいらからすると、いつも完璧だった。 医事課としてこうして欲しいと依頼すると、完璧にこなしてくれ、文句の付けようが無かった。 反面、自身のプライベートで悩み多きI先生は、 結構泣き言を言う、ウジウジ系だった。 直接は言えないのか、メールが泣き言のオンパレードだったこともあった。 お頭は元来お利口さんだから、答えはいつもちゃんと分かっているくせに、 悩んだり、立ち止まったり、孤独に耐えられない寂しがり屋さんのようだった。 内心は、『アホだなぁ』と思いつつも、 江戸っ子じゃないけど江戸っ子気質のおいらは、そうそう無下には出来ず、 どんなメールにもちゃーんと返信をしていた。 気休め程度だろうけれど、それでも、一方通行じゃないんだぞと、 おいらだって、こんなことあったしあんなことあったし、 だけど、こうやって今は笑っているんだぜって。。。 だから、今回のこの突然のメールにも、おいらは真摯に答えたさ。 深夜、バースデーディナーから帰って、 それこそ一時間掛けてメールを打ったんだ。 『悩んでるってことは、もう決めたんだよね。どんな結論だろうと、おいらは支持するよ。』 そりゃ正直、うちの病院は相当な痛手だよ。 だって、ドクターとしてはホントに有能なんだから。 おいら医事課から見てもだし、患者からしてもだ。 わがまま患者にピシッと物申すし、他の先生の治療にも疑問を投げかけることも多かった。 それ故、同僚から煙たがられることもあったらしく、でも、 『嫌われても、患者に不利益がでなければ問題ない。』 と強がっていたこともあった。 春には常勤医が確保出来るうちの病院、医師過剰は不要かもと言うI先生に、 『過剰な医師が不要なんじゃなくて、無能な医師が不要なだけだ。I先生は無能じゃないだろ?』 と問いかけた。 『最近、様子がおかしいと同僚から聞かされてたよ。異様なテンションのときがあったって? もしかしてずっと悩んでたのなら、気づいてやらなくて悪かった。』 後輩が、先週のランチのときのI先生の様子を、おいらに話してきたことがあったからだ。 でも、『夜勤明けでハイテンションだったのかな?』くらいにしか思わなかったのだ。 本当は、『辞めんなよ。』とメールしたかった。 でも、それは出来ない。 誘われた病院がどのくらいの規模で、どんな待遇かは分からないが、 それでも問題だらけのうちの病院よりは、 望まれての新天地は、きっと遣り甲斐があるだろうから。 だから、、、 『おいらの希望はひとつだけど、それは言わないでおくよ。』 って、メールに書いた。 『くだらない感情に流されて判断を謝るな。 そんなに悩まないことだ。今と未来の自身にとってのベストな選択をしたら良い。』 ほんとに一時間費やしたよ、おいら。。。 今日も、連れに誘われて朝っぱらから初詣の予定だったのに、 深夜に頑張ってメールをしたためたんだから。 送信して、おいらは暫しの眠りについた。 朝、早々に迎えにきてくれた連れの車に乗って出掛けたところ、 目的地に到着した朝の9時にメールが入ってきた。 『まだどうするか決めたわけじゃないけど・・・。』 ・・・・え? 『深読みしすぎです。』 ・・・・はぁ? 『基本的にはこのまま続けようと・・・。』 ・・・・なんで??? 『週末副院長に相談しようと思うから。』 ・・・・ワケわかんねぇし。。。。 『有能か無能かで言えば、ボクは無能なほうです。』 ・・・・バカじゃねぇの? 『異様なテンションって…、職場では本性出さないように演技してるつもりなのになぁ。』 ・・・・分かってなかったんかい!? おいら、初詣で、うっかりこう思って手を合わせてしまったよ・・・ 『昨夜のおいらの貴重な時間を返してくれ!』 ってね。 結局、なんだったんだ、あのメールは・・・。 何悩んでんだ? ワケがわからねぇよ。 当面、無視しようと決めました、おいら。 メール来たって返信するものか。 独りで勝手に悩めよ。 勝手に無駄な時間を費やしやがれってんだ。 おいらの貴重な時間を取るなよ。 今朝のメールに返信したら、後は無視しちゃる。 そう、これだけは言っておかなくちゃ! 今夜、送信したメールの最後の一言・・・ 『大根役者!』 あー、すっきりしたぜ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011年01月24日 02時03分58秒
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