全体
レスリングの吉田沙保里選手と試合をしたとして、その最中。「吉田さん、ちょっといいですか、私の左肩を右手で持っていて下さい。そう、で、私は左手でこうつかみますから、吉田さんが左手をこうして、私はその上から……」なんてお願いしても、聞いてくれるわけがありません。あっという間に高速タックルで撃沈されます。年末大掃除中、高校レスリング部時代の練習ノートが出てきたので、少し読み返してみました。必殺技アイデアメモもたくさん残っています。入部したての頃のメモは、相手の動きをがっちり固めてから投げたり倒したりする技ばかり。当時、監督からは「かかればすごいかもしれないけれど、それまで相手は待っていてくれないよ(笑)」とのコメントを、いつももらっていました。練習ノートが進むにつれ、技というよりも、ほんのちょっとしたコツのメモが目立つようになりました。「相手の腕に触れてスーッとすべらせ、肘の角にひっかかってとまったところ」「腰骨(こしぼね)をとらえた遠心力でバックに回る」etc.レスリングは薄くてピッタリ体にフィットした試合着(シングレット)とシューズのみ着用の、ほとんど裸同士で組み合う格闘技。さらには汗でツルツルすべる腕や足。初心者のうちは、「がっちりつかんで抱え込まなきゃ技をかけるなんて無理!」と思い込んでいましたが、そうではなかったのです。ツルンとすべりながら、たとえば肘のでっぱりに、わずかに指先がひっかかったタイミングで技をかければよいことが分かってくると、試合でも勝てるようになりました。相手と一体になり、全体の中で動くということです。「幸運の女神には後ろ髪がない。向こうからやってきたら、迷わず前髪をつかみなさい」と聞いたことがありませんか?極端な刈り上げヘアの女神様が通りすぎたあとでは、後ろ髪をつかもうとしてもつかめず、チャンスを逃がしてしまうからです。それでも、女神の動きと一体化していれば、後頭部の、ほんの少しのでっぱり(乳様突起。下図参照)に指をひっかけ、振り向かせることができるでしょう。初めての会場、知らない観客の前での試合は緊張しますが、それも含めて全体。振り向いた女神様からの高速タックルも、それを受け止める自分も、素敵な2017年も、全体の一部なのです。ワンポイント均整コーナー体に歪みがあったとしても、全体の中で動きのある歪みは悪さをしません。施術では、動かない歪みを見つけて、全体の中で動いてもらうにはどうしたらいいかを考えることが大切なのです。今年も一年ありがとうございました。よいお年をお迎え下さい。※輪ゴムを使った均整法の本『アレルギー性鼻炎は輪ゴム1本でよくなる』、好評発売中です。『アレルギー性鼻炎は輪ゴム1本でよくなる』(田川直樹、おかのきんや共著)※輪ゴム均整の本を共著して下さった、おかのきんやさんの最新刊。読むだけで元気になれます。『あなたがいい。超訳手塚治虫』無料イラスト かわいいフリー素材集 |「いらすとや」さん無料イラスト「イラストわんパグ」さんより