宿泊レベニューの基本と成功戦略:稼働率100%ではなく収益最大化を目指す方法
こんにちは、錦水館の上甲です。今日は「宿泊レベニュー」についてお話したいと思います。この記事を通じて、ホテルの経営に欠かせない「レベニュー管理(Revenue Management)」の基本から、具体的な問題例まで解説し、実際にどのように収益を最大化するかを一緒に考えていきます。ホテル業界に携わっている方なら、宿泊レベニューという言葉を聞いたことがあると思いますが、「実際にどのように計算され、収益にどのように影響を与えるか」については、深く理解している方もいれば、なんとなく知っているだけという方もいるでしょう。宿泊レベニューは、ホテルの収益性を左右する最も重要な指標の一つです。これをしっかり理解することで、ホテルの経営を大きく改善することができます。宿泊レベニューの基本宿泊レベニューは、ホテルが宿泊客から得る収益です。もっと具体的に言うと、「販売された部屋の数 × 1部屋あたりの宿泊料金(ADR:Average Daily Rate)」で算出されます。例えば、100部屋あるホテルが、1部屋あたり12,000円の宿泊料金で80部屋を販売したとしましょう。問題例:ホテルの稼働率が80%、平均宿泊単価(ADR)が12,000円の場合、宿泊レベニューはいくらでしょうか?解答:まず、販売された部屋数を計算します。 100部屋×0.80=80部屋次に、宿泊レベニューを計算します。 80部屋×12,000円=960,000円この日の宿泊レベニューは960,000円です。ホテル経営において、こうした基本的なレベニューの計算がどれほど重要かは言うまでもありません。しかし、これがすべてではありません。「稼働率を上げることだけが成功か?」という疑問に直面することが多いのです。レベニュー・マネージメント概論 ホスピタリティー産業の経営理念 [ デイヴィッド・K.ヘイズ ]失敗の例:稼働率を100%にすることだけを目指して…あるホテルでは、閑散期に入って稼働率が低下していたため、思い切って部屋の価格を大幅に値下げし、稼働率100%を達成しました。表向きは「大成功」に見えるかもしれません。しかし、その後の利益を見ると、期待ほど増加していなかったのです。なぜでしょうか?これは、価格を下げすぎたため、部屋を満室にしても収益が増えなかったからです。稼働率が100%でも、もし平均宿泊単価が低ければ、その日は利益が少なくなってしまうのです。こうした状況では、稼働率だけを追求するのではなく、**RevPAR(Revenue per Available Room:1室あたりの収益)やRevRER(Revenue per Room Equivalent Ratio:客室収益指数)**を意識して経営することが必要です。成功の例:価格戦略でRevRERを最大化一方で、あるホテルが繁忙期に価格をうまく調整した事例があります。このホテルは、閑散期には単価を少し下げ、連泊割引を導入して稼働率を維持。一方、繁忙期には宿泊単価を大幅に引き上げ、稼働率は少し下がったものの、全体の収益を増やしました。問題例:あるホテルが繁忙期に、稼働率が90%、平均宿泊単価20,000円で営業していますが、宿泊単価を20%値上げして24,000円にし、稼働率が85%になると予想されます。どちらの戦略がより収益性が高いかを計算してください。1泊あたりのコストは4,000円です。解答:まず、通常単価を維持した場合の宿泊レベニューを計算します。 販売された部屋数は、 100部屋×0.90=90部屋宿泊レベニューは、90部屋×20,000円=1,800,000円次に、コストを引いた収益は、 1,800,000円−(90部屋×4,000円)=1,440,000円次に、値上げを行った場合の宿泊レベニューを計算します。 販売された部屋数は、 100部屋×0.85=85部屋宿泊レベニューは、 85部屋×24,000円=2,040,000円コストを引いた収益は、 2,040,000円−(85部屋×4,000円)=1,700,000円値上げを行った戦略Bの方が260,000円多くの収益を得ています。レベニューマネジメント 収益管理の基礎からダイナミックプライシングまで【電子書籍】[ 佐藤 公俊 ]ダイナミックプライシングの意義ここで重要なのは、稼働率100%を目指すのではなく、適切な価格戦略を取って収益を最大化することです。ホテル業界では、これをダイナミックプライシング(動的価格設定)と呼びます。季節や需要に応じて料金を変動させ、繁忙期には高価格で提供し、閑散期には価格を調整して稼働率を維持することで、最も効率的に収益を上げることができます。例えば、閑散期に連泊割引を導入することで、稼働率が上がり、清掃コストなどの削減効果も得られます。このように、RevRER(客室収益指数)を最大化することが真の目的です。稼働率を100%にするために価格を下げすぎると、最終的に利益が減少してしまう可能性が高くなります。問題例:あるホテルでは、閑散期に宿泊単価を10%値下げして、連泊割引を提供することで、稼働率が50%から70%に上がると予想されています。1泊あたりのコストは3,000円で、連泊の場合は1泊あたりのコストが2,000円に削減されます。どちらの戦略がより収益性が高いかを計算してください。解答:値下げと連泊割引を行った場合の収益性を計算すると、連泊によるコスト削減効果が得られ、稼働率の向上によって総収益が増加することが確認できます。具体的な数値は計算により異なりますが、このように戦略的な価格調整が成功に繋がります。値下げ前稼働率:50%平均宿泊単価:15,000円1泊あたりのコスト:3,000円売上(Revenue):750,000円(50部屋 × 15,000円)コスト:150,000円(50部屋 × 3,000円)利益:600,000円(750,000円 - 150,000円)値下げ後稼働率:70%平均宿泊単価:13,500円(15,000円 × 10%の値下げ)連泊による1泊あたりのコスト:2,000円売上(Revenue):945,000円(70部屋 × 13,500円)コスト:140,000円(70部屋 × 2,000円)利益:805,000円(945,000円 - 140,000円)【ふるさと納税】広島県廿日市市の対象施設で使える楽天トラベルクーポン 寄付額50,000円値下げと連泊割引を行った戦略では、利益が805,000円となり、値下げ前の利益600,000円よりも205,000円多くなりました。したがって、この場合は値下げと連泊割引を行う戦略の方が収益性が高いことがわかります。 まとめホテルのレベニュー管理では、単に稼働率を100%にすることが目的ではありません。RevRER(収益指数)を最大化することこそが最終的な目標であり、そのためには適切な価格設定が不可欠です。繁忙期には値上げを行い、閑散期には連泊割引や価格調整を行うことで、収益の最大化を図ることができます。これを通じて、ホテル経営において持続可能な成長を実現することが可能です。読者の皆さんにも、ぜひ日々の経営にこの考え方を取り入れてみてください。■上甲のオススメ品-楽天ROOMはこちら楽天ROOM-広島・宮島に特化した商品■広島・宮島旅行に関するYouTube動画はこちらから☆錦水館しか知らない宮島の世界■錦水館のご予約はこちらから☆宮島潮湯温泉 錦水館■ホテル宮島別荘のご予約はこちらから☆ホテル宮島別荘https://travel.rakuten.co.jp/camp/50luxday/