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明日の風の吹く場所から・・

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Jul 16, 2007
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カテゴリ:エッセイ
吉本ばななの「ひな菊の人生」を読んだ。
彼女の本は久しぶりだった。
いいなぁ、と思った。

彼女の書く物語の中では、空気はいつも色や音や、記憶を持っていて、
静かにそっと主人公を包む。

それは、口ではうまく説明できないけれど、音楽のあるカフェの空間や、
古い空き家に入ったときの匂いや、友達の帰ったあとの寂しい空気、
そんなものだと思う。

そして彼女の物語にはいつでも生と死が同居している。
それは僕らにとっても当たり前のことなんだけれど、みんな見ないように
して生きていて、その生きていることの奇跡に気づいていないだけ。。
それを思い出させてくれる。
そう。宇宙の中のたった一つのこの命が、生きているこの瞬間がどんなに
すごいことなのか、を嫌でも感じずにいれなくなる。

本の中で、幼いひな菊が、一人で働いている母の帰りを待つ、こんなシーンがあった。

帰ってきた母が、たとえ本当はひと言も口をきけないほどに疲れ果てていても、
私を見ると少し嬉しそうになり、私の幼いエネルギーを受け取って活気付くのがわかった。
自分は邪魔な存在ではなく、役に立ち、必要だと思えるその瞬間のためなら、
夜更かししていることはなんでもなかった。


こういう言葉が僕はたまらなく好きだ。
生きてることって神秘なんだな、と思う。
そして、どうして彼女は、こんな風に人が心の奥底で求めている狂おしい何かを
文字にできるのだろう。。そう思う。

まるで火をつけたろうそくの炎が、最初は小さく、やがて大きくなるように、
僕も誰かの心にほんの小さな火を灯すことができたなら、と思う。
そうしたら、どんなに自分の人生をいとおしく思えるんだろう。
自分の命を、魂を愛せるのだろう。





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Last updated  Jul 17, 2007 01:37:24 AM
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