カテゴリ:エッセイ
少し前のドラマになるけれど、大ヒットした松本清張「黒皮の手帳」を見た。
http://www.tv-asahi.co.jp/kurokawa1/ 平凡な銀行のOL元子は日々目の前を流れていくお金を眺め、 架空口座による脱税に人々の欲望を操るお金に復讐を誓う。 やがて、それらの口座から1億2千万円を横領した元子は銀座に一軒の店を持つ。 店の名は「カルネ」架空口座の名義と金額を書き込んだ切り札の「手帳」のフランス語。 嘘と真実と、お金と欲望と、権力と孤独と、野望と恐怖。 たどり着く先のわからぬまま人々は地をはい、涙を流し、見下し、見下され、 何かを手にし、すべてを失う。。 激しい駆け引きの中で、米倉涼子演じる元子は決して誰かの力を借りることなく、 誰かに身体を許すことなく、銀座の頂点を目指していく。 お金にも、欲望にも、権力にも決して屈しないその姿は潔く、猛々しく思う。 どんな逆流にも決して目を閉じることなく、自分の信じる道を進む姿。 汚れきった世界の中で、その汚れに染まりつつ、決して自分を失わない。 松本清張が1983年に書いたこの本に出てくる主人公は、 次々と積み上げてきたものを失い、落ちていく砂をすくいあげようと奔走するが、 どうにもできず、すべてを失い、けれど決して自分の信念を曲げず、 そこからまた這い上がる。 それはまるでバブル経済の崩壊後、すべてを失った経営者たちや、今も 激しい時代の流れの中で、その浮き沈みに翻弄される我々の心への提言なのかもしれない。 (主題歌:「Here alone」) http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=B08184 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Aug 20, 2007 01:54:21 AM
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