カテゴリ:エッセイ
今日は会社の定年退職者を見送る会があり、それがホテルの高層階であったのだけれど、
高いビルの窓から夜の街を見下ろしていると、なぜか誰もがロマンチックな気分になるらしい。 50歳以上の男ばかりの集まりながら、その夜景を携帯に撮ってみたり、声もなく眺めていたりした。 僕はいつでもそんな景色を見ると、すごい勢いで夜の空気の中に吸い込まれていく。 目でビルの明かりや、屋上の少しくらい様子や、きらびやかなネオン、行きかう車と 街路樹と信号機、遠くに傾きかけた月や、高速道路や、電車の窓の明かり、 そんなものを見ていると、映画「マトリックス」に出てきたネオのように、 このガラスをすり抜けて、空を飛び、この手の平を待っている誰かのところへ 飛んでいきたくなる。 そして思う。時の流れは決してひとつじゃないんだと。 手のひらが伝えるのは温度だけじゃないんだと。 にぎわう街が夜の空気をあたためていて、 人々の心は蝶のように舞う。 誘惑と、高揚と、友情と、幻想と、希望と。。 たくさんの魂が何かを伝えようとあがいている。 夜の街はキズナに飢えていて、孤独と愛情は紙一重。 優しさと欲望が同棲し、未来と過去が交錯する。 夜空を舞う蝶がささやく。 「今夜、時の手のひらに触れてみたかい?その永遠という残酷さに。。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Aug 25, 2007 12:52:59 AM
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