半月と半月
今日夜ご飯を食べに出かけたときに車の中から半分になった月を見た。月はいつものように人懐っこく僕と一緒についてきて、優しい光で僕を照らしてくれた。なぜか半月を見ると子供のころの山の向こうにみた青い月を思い出す。それは、林の木々の上にあって、バス停からの長く淋しい帰り道をいつまでも僕と一緒に歩いてくれた。これから満ちるのか、欠けて行くのか、その時はわからなかったけれど、なぜか、心の中には満月が満ち溢れていて、見えている半月と、見えないもう半分とを心の中でつなぎ合わせていた。あの頃僕を家路へと導いてくれたあの月は、社会人になり、中途半端にお金を持って、一人で車を乗り回す自分に一体何を語りかけようとしているの?お前にはもっとできることがあるだろ?もっと誰かに伝える言葉があるだろ?誰かの心の欠けた半分を満たす何かがお前にはあるんじゃないか?それを求めてる人もいるんじゃないか?再び見上げた月は静かに、決して何も語らないけれど。。