NHKがこの前の日曜にスペシャルで放送していた番組。
”好きなものだけ食べたい” ~小さな食卓の大きな変化~
ん?どこかで聞いたような話題だなあ。と。。
2003年にこんな本がでました。
(ちょっと画像でかすぎたか??)
「変わる家族 変わる食卓」 -真実に破壊されるマーケティング常識-
株式会社アサツー・ディ・ケイの岩村暢子氏によって書かれた現代日本の食卓事情を徹底的に分析した本。衝撃的です。一体日本人はなんて悲惨な生活をしているんだと。でも何も扇動的なことが書いてあるわけではないんです。よく思い出してみると自分の今までの食生活とあんまり変わらない気がするんです。わざわざ本で読んだからびっくりしたわけで。それくらい普段の生活に注意払ってなかったんです。
アサツー・ディ・ケイが実施してきた<食DRIVE>調査は、首都圏に在住する1960年以降生まれの(子供を持つ)主婦を対象に5年間毎年行ってきた食卓の実態調査。アンケートによる食生活、食卓に関する意識調査とともに、1週間毎日3食の食卓について食材の入手経路、決定理由、作り方、食べ方、食べた人、食べた時間を日記と写真で記録してもらうというもの。NHKでの特集もこの調査の延長線上にあります。今頃取り上げるのもちょっと遅いなあとか思ってちょこっとだけ見てました。
僕は自分の食生活がだめなのを自覚しているので読みましたが、むしろ食べ物大好きという人に読んでほしい。「食育」という言葉をむやみやたらと使うのではなく、根本の価値観から変わらないといけないかもしれません。(あいかわらず僕の食生活改善されてませんが・・・。汗)
この本の中で僕が一番ショッキングだったのは最後の付論「家庭科で習った通り」の件。
ある年代を境に日本の主婦の食事に対する意識や感覚に明確な違いが現れる。2002年の段階で43歳と34歳前後あたりに「断層」が見えると・・。(今は2006年だから4年足せばいいのか)
43歳より下の年代では上に比べて「栄養・機能志向」が強く、一つ一つの食材をそれが主要に含む栄養素に還元して捉える感覚があり、味よりも栄養素を組み合わせたり網羅することを重視している。そして34歳以下の主婦は、上に比べて総じて食に関する技術も関心も低い。栄養を網羅的に取ろうという意識もあまりない。内容よりも楽しく、好きなものが食べられることを志向する。
なるほど、なるほど。。
ではなぜそのような断層が生じるのか?
どうも彼女たちが中学校時代に受けた家庭科教育と密接な関係がある、と話は展開していきます。中学校の学習指導要領、「技術・家庭」教科書の改訂と、時期も特徴内容も一致しているというのです。
43歳から下の主婦が使った教科書では、調理実習よりも食品を栄養素別に分類したり、それを組み合わせて一日の栄養所要量を満たす工夫を教えている。「栄養・機能」のバランスが取れているかを献立の構成バランスより重視する。「ゆとりある生活」に向けての作業効率化を語る記述が多い。
34歳から下の教科書では男女別学から共通の1冊になり、方針に大きな変更はないが学習内容がより簡略化され、またここから家庭科の授業時間は減少し、調理時間も大幅に削減され始める。家庭の食事を管理したりまかなうための教育から、「個」として自分自身の食管理を中心に考えさせようという方向になっている。
こうして考えてみると今日「いま時の主婦は」と非難されているような事象も、実は多くがその時々の学校教育で教わったとおりなのではないかと気づくのである。断片的な知識は忘れてしまっても教育の中で示されたものの捉え方や価値観は気づかぬまま心に長く残るのではないか?今行われている家庭科教育が、10年、20年後の家庭の食をどう変えていくのか、それは大変興味深い問題でもある。
うーん・・。
頭では納得できるのですがやはりショックです。教育が与える影響は、家庭科に留まるはずもありません。人間の個性なんて、言うほどすごいものではないのかもしれない。食卓を覗くだけで人の価値観の根幹に関わる部分まで見えてくるとは。
教育の重要性はどれだけ議論してもし足りるものではないでしょう。「ゆとり教育」やったり止めたり、もう少し時間かかってもいいからしっかり方針を決めた方がいいんじゃないでしょうか。失敗できないものですから。(そうした混乱を招くような教育者も産んだのも過去の教育ですけど)
長くなりました。なにはともあれ、一度お読みになることをお勧めします。