稽古 ~胸を張って~
最初に学んだ道場では、突きも蹴りも「胸を張れ」とよく言われた。 こちらが若かったこともあり、師も細かい理論を教えてはくれなかった。 大学時代在籍したフルコン流派では、どちらかと言うと、猫背で蹴る場合が 多かった。 当時あることで知己を得たタイ人から、「ムエタイでは背筋で蹴る」という 話を聞き、自分なりに色々研究し、フルコン派でも、初期の頃は背筋で蹴る 時期があったことも知った。 最後の会派では、これまた「胸を張れ」である。ここでは、細かい理論も 学ぶことが出来、さらに自分で研究を重ねて、今では確固たる自信をもって、 後進に紹介している。 特殊な蹴りを除いて、蹴る瞬間に自身の身体を「剛体化」するためには、 骨格的に背骨一本で支えている、胸椎と腰椎の間の筋肉を、ビシッと決め 無ければならず、そのためには胸を張ることが有効なのだ。 圧倒的な筋力のある一部の者を除いて、普通の筋肉を持つ修行者は、蹴りと 上段受けなど、相手の力を受け止めたり逸らしたりする局面で、胸の張り具合 でどのような違いがあるかを、是非、確認していただきたい限りである。 DSC_1391 posted by (C)kirk1701