映画:ナミヤ雑貨店の奇蹟
◆東映実録路線ばかりだったので、この手の映画が妙に新鮮。 何の予備知識もなく観たのだが、東野圭吾の原作だとか、佐藤浩市の 息子が出演しているとか、鑑賞後に知ってちょっと得した気分だが、 映画自体が非常に面白かった。 観ながら「異人たちとの夏」という映画を思い出し、頭の中で較べたり してしまったが、山田太一原作・市川森一脚本の「異人たち~」の切ない 雰囲気には及ばないものの、この作品もストーリーの緻密さで人間の 切なさがそれなりに感じられた。 小林薫演じる魚屋の主人とその息子のエピソードは、息子と同世代の 私には思い当たる節もあり、共感が作品への入れ込みに繋がった。 自分は何かを紡ぐことが出来たのだろうか? 人生の黄昏時を迎えている我々の世代には、心にチクリと刺さるものの ある秀作だった。