テーマ:政治について(20231)
カテゴリ:Politics
東京裁判では28人を「平和に対する罪」で起訴して、「通例の戦争犯罪」に依るA級戦犯として7人に死刑が執行されました。「平和に対する罪」は事後法だという批判は当然ありますが、末端の犯罪者だけ裁いて、地位の高い責任の重い者を裁かないと悪影響が大きいという意味もあったのです。 加えて、連合国によるA級戦犯の東京裁判とは別に連合国7ヶ国がそれぞれ裁判をしていて、BC級戦犯裁判では計約5700人が裁かれ934人の死刑執行が確認されています。他にソ連でも推定約3000人が裁かれました。 しかし、日本に併合され、日本軍として戦闘に従事した朝鮮人はその残虐さで知られていましたが、戦争犯罪人とはされなかった様なのです! 東京裁判は一度に大勢は裁けないため、陸軍とか海軍、外務省、その他の官僚、右翼団体といった分野ごとに、28人を起訴しました。 「平和に対する罪」で起訴されたことで、戦争準備の証拠や残虐行為の記録が集められて次々に提出されました。普通だと消え失せてしまうようなものが残されたことを考えると、東京裁判の果たした役割は大きかったのではないでしょうか。 昭和天皇を訴追しないとか、生物兵器開発で人体実験をした731部隊を訴追しないとか、米国の影響は確かに強いのですが、裁判では各国の検察から寄せられた日本軍の残虐行為の情報を無視できなくなるわけです。 最終的に死刑になった7人はいずれも「通例の戦争犯罪」でも有罪、「平和に対する罪」も認められているのですが、新しい法律なのでそれだけでは死刑にしていません。国際法は国内法とは違って穴だらけで、「平和に対する罪」が将に生まれた段階での判決だったのです。 東京裁判後の東西冷戦下ではあまり発展がなく、冷戦終結後に国際刑事裁判所ICCができます。戦犯裁判の一番大きな意味の一つは、平和を回復していくプロセスで被害者による直接の報復を防ぐことだと考えています。 つまり、加害の責任者は法で罰するから、被害者個々が報復するのは禁止という意味が大きい。被害者が報復を始めると、多分収拾がつかなくなるわけです。 ただ、米ロ中といった大国はICCの非締約国です。例えばベトナム戦争で米国がしたことは東京裁判の論理で言うと「通例の戦争犯罪」にも「平和に対する罪」にも当たるけれど全く処罰されていません。そういう意味では戦犯裁判で裁かれるのは、敗戦国か中小国に限定されているわけで、そこは戦犯裁判の重大な弱点だと思います。 ただ、例えば今回ロシアがウクライナにしたことは侵略だ、侵略戦争は許せないという非難が出てくるのは、ニュルンベルク裁判、東京裁判で国際的に基準が確立したからでしょう。 戦争という手段は基本的に大国がとろうとするわけです。中小国はむしろ大国に勝手なことをされては困る。国際法できちんと禁止してほしいというのが、中小国の願いなのです。それがICCを作り上げてきたし、核兵器禁止条約も全く同じです。 中小国の声をどれほど国際法にきちんと反映させ、大国を従わせることが未だ出来ていない。果たして解決するかどうか分からないけれど、一番重要な課題だと思います。 広島への原爆投下直後に、日本政府は「国際法に違反する」と米政府に抗議しています。 もちろん戦争犯罪で、核兵器は特定の軍事目標だけを破壊することが出来ませんから。ただ、日本がそこまで戦争を継続したことが引き起こした面もある。各地で残虐なことをして、そのことが米国などで原爆使用を正当化する論拠になっています。日本国民の一員としては、原爆投下を戦争犯罪として批判すると同時に、日本の侵略戦争と残虐行為について反省しなければならない問題なのだろうと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.08.16 12:59:35
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