著者は元東大全共闘代表、頗る理屈を大事にする人物で、彼の政治的命題に共鳴して追随するのは途轍も無い忍耐力が要求されると思わざるを得ません。
本書は7章に亘って、次の様に論じられます。
1. 欧米との出会い
2. 資本主義の歩み
3. 帝国主義と科学
4. 総力戦体制に向けて
5. 戦時下の科学技術
6. そして戦後体制
7. 原子力開発
「嘗て東アジア諸国を侵略し、2度の原爆被害を受け、福島の事故を起こした国の責任として軍需産業からの撤退と原子力使用からの脱却を宣言し、核武装の可能性を否定して経済成長・国際競争に替わる低成長下での国際連帯を追求して、世界に貢献する道を選ぶべきなのだ」と結論付けるのですが、今や死語となっている非武装中立を推奨するのです。
現在の中露大国に依る領土・領海侵入は、武力を背景に加速の一途となっており、現実を忘れた空論に過ぎないと判断せざるを得ません。