左翼思想家は政治理念を頻繁に語るのですが、国力を強くする経済力について語るのは稀なのです。
習近平政権で序列2位となる首相を務めた李克強氏は経済学博士の称号を持ち、習近平氏が外交を担当したのに対して、彼は国力充実に意を注いで鄧小平指導者が提唱した改革開放を積極的に推進したのですが、好事魔多し、68才で夭折となってしまったのです。
すると、不動産バブルが深刻となって経済衰退で国力を減ずることになりました。
2023年10月、中国の李克強前首相が68才で死去、エリート宰相が影響力をそがれた末に迎えた突然の死は、庶民にも寄り添える人材を発掘し、政権中枢に取り込んできた中国共産党の機能の衰えを象徴している。
経済学博士号を持つ李氏は、市場化改革を志向し、民間の活力を重視した。首相在任中は「大衆による起業」を打ち出し、経済発展よりも「国家安全」を重くみる習近平国家主席とは一線を画した。だが、その習氏が権力集中を図る過程で実権を奪われ、2023年3月に引退を余儀なくされました。
李氏は共産主義青年団の出身、共青団は党・政権を担う人材を育てる仕組みとして機能していて、前国家主席の胡錦濤氏が共青団トップの経験者であり、李氏はその次の世代と目されていたのです。
民主的な選挙がない中国で共産党が一党支配を続けるには、繁栄と安定という果実による人々の支持が不可欠なのです。