先ず、書き出しがユニークで、「キリスト教は性に対して保守的で厳格と言われていますが、宗派を問わず、教会内部に性犯罪や性暴力が蔓延って来たことも知られている。中世からルネサンスに眼を向けると、キリスト教は性を巡って多様で豊かな想像力を育んで来たのではないかと思いつつ小著を書き進めることにした」と記しているのです。
正当な学説とされる三位一体説は、キリスト教において
父(=父なる神・主権)
子(=神の子・子なるイエス・キリスト)
霊(=聖霊・聖神
の三つが「一体(唯一神)」であるとする教え。
三位一体を包み込む聖母マリアの子宮と言う像を紹介しています。通常は、極普通の幼児キリストを抱く聖母マリアの姿なのですが、観音開きの開き戸を開けると、たちまち別の様相を呈していて、まるでマリアの子宮胎内を覗き見る様子となるのです。
挿絵も秀逸で、多くの画家の絵が挿入されていますが、劇場型の天才画家で殺人罪で訴追されたカラヴァッジョ作の「キリストの捕縛」「聖トマスの不信」は取り分け観賞する価値もある様に思われます。