ギリシャの財政危機
ギリシャ共和国は地中海文明のルーツの一つで、半島に加えエーゲ海を中心に存在するおよそ3,000もの島によって構成され、複数の文明の接点に位置しています。 面積は131,940km2(94位)、人口は2008年で11,161,000人(74位)、GDPは3,575億ドル(26位)、1人あたり30,534ドルとなっています。 ギリシャでは2009年10月に政権交代が行われましたが、パパンドレウ新政権下で、旧政権が行ってきた財政赤字の隠蔽が明らかになりました。 従来、ギリシャの財政赤字はGDPの4%程度と発表していましたが、実際は13%近くに膨らみ債務残高も国内総生産の113%にのぼっていました。 2010年1月に欧州委員会がギリシャの統計上の不備を指摘したことが報道され、ギリシャの財政状況の悪化が表面化しました。 政府は財政赤字を対GDP比2.8%以下にするなどとした3カ年財政健全化計画を閣議で発表しましたが、格付け会社はギリシャ国債の格付けを引き下げ、債務不履行の不安からギリシャ国債が暴落しました。 株価もその影響を受け、世界各国の平均株価が下落し、ユーロも多くの通貨との間で下落しました。 国内では、2月から断続的にストライキ、デモが行われました。 4月に欧州連合統計局が発表した財政赤字は、13%近くではなく13.6%であることが発表されました。 2011年7月に格付会社ムーディーズは、既に投機的等級にあるギリシャの格付けをさらに3段階引き下げて従来のCaa1をCaとしました。 9月に欧州委員会・IMF・ECBの3機関で構成される合同調査団が、デフォルト回避に必要な次回融資を受けるにふさわしいかを判断するため調査する見通しとなりました。 10月にギリシャ政府が財政赤字削減目標未達となる見通しを発表したため欧州金融市場は再び悪化し、ギリシャがデフォルトとなる可能性が高まりました。 欧州諸国は債務危機に対応するために、ギリシャ債務の民間投資家の損失負担を50%とし欧州金融安定ファシリティの融資能力を拡充するほか、2012年6月まで銀行の資本増強を決めました。 しかし、パパンドレウ首相が第2次支援策の受け入れについて国民投票を実施すると発言したため、金融市場は再び不安定化し内外での反発が強まりました。 そこで、メルケル、サルコジの独仏首脳がパパンドレウ首相に対し圧力をかけて事態収拾に動き、国民投票は撤回されました。 パパンドレウ内閣の信任投票で僅差ながらも信任されましたが、最大野党・新民主主義党のサマラス党首の会談がアテネの大統領府で行われ、両党による新政権を発足させることで合意しました。 そして、先日、ギリシャの新連立暫定政権の首相に、パパデモス前欧州中央銀行副総裁が就任することが決まりました。 ギリシャのほかスペインやポルトガルなどへ飛び火することも懸念されており、最近はイタリアやフランスも影響及ぶ恐れがありそうです。 これから、しばらく、ヨーロッパから目が話せません。