世界の美しい図書館(感想)
図書館は知の宝庫であり、地図(図版)の「図」、書籍の「書」を取って、図書とし、図書を保存する建物という意味でした。 図書、雑誌、視聴覚資料、点字資料、録音資料等のメディアや情報資料を収集、保管し、利用者への提供等を行っています。 ”世界の美しい図書館”(2014年12月 バイインターナショナル社刊 関田 理恵著)を読みました。 世界遺産として登録されている歴史的図書館や最新鋭の名建築のものまで、世界各国の豪華な図書館とユニークな施設を100館掲載しています。 基礎的な蓄積型文化施設の一種であり、博物館が実物資料を中心に扱い、公文書館が非定型的文書資料を中心に扱うのに対して、図書館は 出版物を中心に 比較的定型性の高い資料を蓄積します。 本書はPIE BOOKS=ピエ・ブックスの1冊ですが、発売元は株式会社パイ インターナショナルとなっています。 ピエ・ブックスを刊行してきたピエ株式会社とパイ インターナショナルは、これまで互いに協力して、デザイン書・ビジュアル書を中心に、新鮮な出版を心がけてきました。 2017年1月に、パイ インターナショナルがピエ株式会社を吸収合併し、経営の効率化を共に目指して、国内外へ向けたブランディングの強化を図りました。 パイ インターナショナルは1971年7月に豊島区で設立され、魅力ある文化・優れたクリエイターと、世界との懸け橋でありたいとしています。 PIEはPretty(かわいい)、Impressive(感動的な)、Entertaining(楽しい)で、円であり丸く、丸いのは地球であり、そこに世界が存在しています。 パイという名前はおかあさんが作ってくれる食べ物であり、家庭的で親しみがありいろいろなものがミックスされています。 世界のさまざまなデザイン・アート・文化を世界に紹介したい、届けたい。新鮮で、やさしく可愛らしい、親しみのある書籍づくりをめざしたいという思いをこめています。 人類が「書き記すこと」をはじめたのは、紀元前3000年~3400年頃の古代メソポタミアだといわれます。 古代メソポタミアの文書は粘度板に刻まれていました。 粘度板の保管場所としての図書館がいつ頃誕生したのかは分かっていませんが、シリアの古代都市エブラ宮殿遺跡から、紀元前2250年頃に書かれた粘度板が大量に保管された文書館が発見されています。 紀元前7世紀にはアッシリア王アッシュール・バニパルの宮廷図書館があり、アッシリア滅亡時に地下に埋もれたまま保存された粘土板文書群が出土しました。 ヘレニズム時代の図書館としては、紀元前3世紀のアレクサンドリア図書館が著名です。 この図書館は、付近を訪れる旅人が本を持っていると、それを没収して写本を作成するというほどの徹底した資料収集方針を持っていました。 さらに、薬草園が併設されており、今日の植物園のような遺伝資源の収集も行われていました。 つまり、今でいう図書館、公文書館、博物館に相当する機能を併せ持っており、古典古代における最高の学術の殿堂となっていました。 古代の図書館の中でも「世界三大図書館」として名高いのが、アレクサンドリア図書館、ペルガモン図書館、ケルスス図書館です。 アレクサンドリア図書館では、図書館への放火により全ての蔵書が失われてしまいました。 ペルガモン図書館はトルコのミュシア地方にあり、ケルスス図書館はトルコのエフェソス遺跡にあります。 古代の図書館は繁栄の象徴でもあり、古代ギリシャでは紀元前600年頃には図書館と文書館が大いに発展しました。 上流市民は書物の個人コレクションを収蔵して、美しい建物を競って建てました。 プラトン、ヘロドトスといった学者たちも大規模な個人図書館を所有していました。 中でも哲学者アリストテレスの図書館は数々の伝説を生み、その蔵書は何世代も後のアレクサンドリア、コンスタンティノープルにまで伝えられていったといいます。 一般市民も利用できる公共図書館が、初めて設立されたのもギリシャで、紀元前500年頃のアテナイとサモスでは、公共図書館が発展していきました。 西洋世界では、5世紀から9世紀にかけて多くの都市が戦乱によって荒廃し、ギリシャ・ローマ時代の知の遺産である公共図書館は姿を消していきました。 一方、ビザンツ帝国が台頭し、首都コンスタンティノープルの図書館では、ギリシャとローマの古典の収集が続けられました。 5世紀のコンスタンティノープル図書館では、数千冊に及ぶさまざまな分野の書物を所蔵する大図書館を運営していたとされます。 収蔵本の大半は羊皮紙の巻き物で、金のインクで書かれたものもありました。 コンスタンティノープルは本の輸出で知られ、多くの本がイスラム圈の図書館に運ばれ、学問の発展に寄与しました。 この時期の大規模な図書館は西洋ではなく、イスラム圈と東アジアにありました。 中世イスラムでの中でも著名な図書館は、アッバース朝の第7代カリフ・マムンがバグダードに設立した「知恵の館」です。 天文台や学校などを備えた、近代の大学の先駆ともいえる施設で、西暦830年に建てられた同館には150万もの書物が所蔵されていたといいます。 イベリア半島でアンダルスのウマイヤ朝が成立すると、コルドバには7つの図書館が建設され、カリフの図書館だけで40万巻の蔵書がありました。 ですが、これらのコレクションは、戦争による略奪やコーランのみを認めるイスラム教徒の手により、12世紀にはほとんどが失われてしまいました。 中世の西洋の図書館といえば、ウンベルト・エーコの小説「薔薇の名前」に登場する修道院図書館を思い浮かべる人も多いでしょう。 小説の中では8万5千冊もの蔵書があったことになっていますが、当時の修道院には多くても500冊ほどの蔵書しかしかなかったといいます。 11~13世紀にかけての中世盛期になると、学問の中心は修道院から大聖堂の学校へと移り、聖堂の図書館が発展し、大量の本を所職するようになっていきました。 1200年代のソルボンヌ大学には28基の書見台があったという記禄がありますが、本格的な書架はなく、貴重な書物の多くは祭壇の近くにしまわれていたり、書見台に鎖でつながれていました。 14世紀に入りルネサンスの時期には、多くの富裕層が個人図書館をつくるようになりました。 また14世紀の終わりには、ヨーロッパには70を超える大学が存在するようになり、そのほとんどに図書館がありました。 1452年には、イタリアにヨーロッパで最初の自治体の財産としてすべての市民に聞かれた図書館、マラテスティアーナ図書館が開館しました。 教会の会衆席に似た座席が並び、本は座席前の書見台に鎖でつながれている作りは、当時の図書館の典型でした。 1564年にはヴェネッイアにマルチアーナ図書館が誕生し、3廊式の均幣のとれた空間はその後の図書館建築に大きな影響を与えました。 1450年頃にヨハネス・グーテンベルクが活版印刷技術を発明すると、印刷工房はヨーロッパ中にまたたく問に広がりました。 16世紀の初頭には膨大な数の本が印刷されるようになり、本の価格も大幅に下がりましたが、図書館の形態変化がおこるのは16世紀末から17世紀初頭にかけてです。 この時期、イングランドでつくられたのが「ストール・ライブラリー」で、その姿はオックスフォード大学図書館に残るハンフリー公爵図書館に見ることができます。 壁に書籍を収納する「ウォール・システム」の図書館は、17、18世紀のヨーロッパで盛んに設計されました。 多くの修道院や宮殿に影響を与えたウォール・システムの図書館は、スペインのエル・エスコリアル修道院副書館だといわれます。 長さ68mもの壁面に天丈までの高さの巨人な書棚が据え付けられ、本がずらりと陳列されました。 本は壁を飾る装飾の一部になり、開架式閲覧室という図書館のイメージも決定づけました。 ケンブリッジ大学にも、画期的な建築のレン図書館が1695年に完成しました。 特筆すべきは、書棚よりも高い場所につくられた窓から、豊かな光が降り注ぐ点です。 書棚は壁にそって並ぶと同時に、伝統的なストール・ライブラリーのように壁面から直角に書棚を配しました。 このレイアウトは後の回書館建築に大きな影響を与えることになりました。 18世紀には、壮麗なバロック様式と曲線を多用するロココ様式の図書館が多く建設されるようになりました。 内装に施された豪華な装飾には、さまざまなメッセージが込められました。 たとえばバロック様式の代表的な図書館として名高い宮廷図書館には、施主であるカール6世を神格化した姿の天井画が描かれています。 また、ギリシヤにアルファペットを伝えたとされる、カドモスの物語もルネッド壁面の半円形部分に描かれています。 壮麗な図書館は、当時の権力者の威光を見せつける格好の舞台装置でした。 18世紀末から19世紀初頭にかけて、バロックやロココ様式の反動として、古代ギリシヤ・ローマの建築をもとにした、新古典主義の図書館が多く建てられました。 特徴である切れ目のない半円筒ヴォールドの天井は、パンノンハルマ修道院図書館や、国民議会図書館にその特徴を見ることができます。 19世紀に入ると機械化が進み、ますます多くの本が世の中に出回るようになりました。 図書館の規模も大きくなり、設備や運営方法にも大きな改革が見られるようになりました。 1850年には、フランスに鉄製の屋根がつかわれたサント=ジュヌヅイェーブ図書館が誕生し、1866年にはアメリカに鉄製の書架とガス灯を備えたジョージ・ピーポデイ図書館が完成しました。 大英博物館図書室は完全な鉄骨構造で建てられ、垣根をドームにすることで支柱のない、直径約40mもの大空間をつくることができました。 この放射状のレイアウトは、その後多くの図書館で採用されていきました。ザンクト・フロリフン修道院図書館/アルテンブルク修道院図書館/アドモント修道院図書館/オーストリア国立図書館(宮廷図書館)/メルク修道院図書館/マルチアーナ図書館/アンブロジアーナ図書館/パンノンハルマ修道院図書館/ストラホフ図書館/ザンクト・ガレン修道院図書館/チューリッヒ大学法学部図書館/フィンランド国立図書館/ストックホルム市立図書館/ヴェンラ図書館/デンマーク王立図書館ブラックダイヤモンド/ブランデンブルク工科大学図書館/シュトゥットガルト市立中央図書館館/ハンブルク大学法学部図書館/ベルリン自由大学文献学図書館/ドゥスリングン図書館/フンボルト大学グリム・センター/ヨハネス・ア・ラスコ図書館/ヴィブリングン修道院図書館/アンナ・アマリア図書館/ヘルツォーク・アウグスト図書館/マリー・エリザベート・リューダー・ハウス/ミニビブ/デルフト工科大学図書館/アムステルダム公共図占館中央館/グラス・パレスライブラリ/ユトレヒト大学図書館/スパイケニッセ公共図書館/サント=ジュヌヴィエーヴ図書館/フランス国立図書館リシュリュー館/国民議会図書館/シヤンテイ城図書鮪/メデイアテック・ア・ヴェニシュウー/メソン・デュ・リーブル/ピエールヴィーヅライブラリーアンドメディアセンター/ペッカム公立図書館/シーリー歴史図書館/大英博物館セント・パンクラス本館/バーミンガム公共図書館/オックスフォード人学ボドリアン国政館ハンフリー公爵図書館/ラドクリフ・カメラ/オックスフォード大学コドリントン図書館/大英博物館図書室/ダブリン大学トリニティ・コレッジ図書館オールド・ライブラリー/アイルランド国立図書館/TEA-テネリフェ・エスパジオ・デ・ラ・ザルテス/マドリード地域ドキュメンタリーセンター/カルロス・サンタマリア・センター・ライブラリ/エル・エスコリアル聖ロレンソ修道院図書館/コインブラ大学ジョアニナ図書館/アヴェイロ大学中央ず書館/新アレクサンドリア図書館/アル・バブタン中央図書館/コーラン図書館/ディヴィッド・サスーン図書館/中国国家図書館新館/籬苑書屋/中嶋記念図書館/武蔵野美術大学図書館/多摩美術大学八王子図書館/成蹊大学図書館/せんだいメディアテーク/金沢海みらい図書館/旧弘前市立図書館/北九州市立国際友好記念図書館/国際こども図書館/大阪市立中之島図書館/ビクトリア州立図書館/議会図書館/バンクーバー公共図書館中央館/ザンテユスタシユ図書館/イエール大学バイネヴキ貴重書・手稿図書館/ブルックリン中央図書館/ニューヨーク公立図書館スティーブン・A・シュワルツマン館/モルガン図書館&博物館/シカゴ公共図書館/アイオワ州法図書館/ジョンズ・ホプキンス大学ジョージ・ピーボタイ図書館/アメリカ議会図書館/ワシントン大学スザロ図書館/フランシス・A・グレゴリー図書館/ウ川アム・O・ロックリッジ・ベルヴュー図書館/ハロルド・ワシントン図書館/カンザス私立大学図書館/プリンストン大学ルイス科学図書館/デンバー公共図書館/シアトル公共図書館・中央館/リチャード・J・リオータン中央図書館/UCSDガイゼル図書館/フェニックスバートンバー中央図書館/サン・アントニオ公共図書館/フィリップス・エクセター大学図書館/ホセ・バスコンセロス図書館/パラフォシアナ図書館/スペイン図書館/王立ポルトガル文学館/図書館の歴史[http://lifestyle.blogmura.com/comfortlife/ranking.html" 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