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インネパ店とはインド・ネパール料理店の略で、主としてネパール人が手がけるインド料理店を指します。 よく見かける外国人経営のカジュアルなインド料理店は、実は多くがネパール人が経営していることが多いです。 ”カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」”(2024年3月 集英社刊 室橋 裕和著)を読みました。 いまやいたるところで見かける格安インドカレー店について、その急増の理由や稼げる店の秘密と裏事情などを解説しています。 2022年現在、全国に少なくとも2000軒のインネパ店があるといいます。 しかも、その軒数はここ15年ほどで5倍前後になっているそうです。 2022年1月時点の日本ソフト販売による集計では、代表的な飲食チェーン店の国内店舗数は、たとえば松屋は977店、ドトールは1069店、CoCo壱番屋は1238店です。 これらに比べると、インネパ店の2000軒は大きな数字です。 インネパ店の多くは個人経営ですので単純な比較はできませんが、今や有名チェーンの店舗数をはるかに上回っているといえます。 お店のほとんどが、ネパール人による経営なのはなぜでしょうか。 また、どの店にもナンとインドカレー、タンドリーチキンなどの定番メニューが並んであるのはなぜでしょうか。 室橋裕和さんは1974年埼玉県入間市生まれ、両親は共働きで町工場の営業をしていたそうです。 バックパッカーに憧れて、東京の大学に進学後はアルバイトで貯めた資金で中国、インド、中近東などを旅しました。 その後、週刊文春の記者を経てタイに移住しました。 現地発日本語情報誌のデスクを務め、10年に渡りタイと周辺国を取材しました。 2014年に帰国後は、アジア専門のライター、編集者を務めています。 現在は多国籍タウンの新大久保に住み、外国人コミュニティと密接に関わり合いながら取材活動を続けています。 インネパ店には共通する定番のメニューといえるものがあるそうです。 中心に据えているのは、ナン、インドカレー、タンドリーチキンなどです。 中でも多くの店のウリは、バターチキンカレーとおかわり自由なナンです。 10種類ほどあるカレーはスパイスをきかせすぎず、ナンは甘く柔らかいです。 最近では、チョコレートナン、明太子ナン、あんこナンなどのナンを出す店も増えています。 こうした料理は北インド料理がルーツで、ネパール料理ではありません。 インネパ店で出されているのは、北インドのカレーを外食風にアレンジした少し濃い目の味付けのものです。 これは、ネパールではあまり一般家庭で食べるものではありません。 というのは、タンドールという釜がないとナンやタンドリーチキンは焼けないからです。 ネパール人が普段食べているのは、ご飯にダルという豆の汁が主なものです。 カレーの味付けはスパイスの量が少なく、野菜、高菜、アチャールという漬物や発酵ものが多いです。 しかし、メニューにはネパール餃子のモモがあったり、店の内外にネパール国旗やヒマラヤ山脈の写真を掲げていたりします。 メニューは伝統料理ではなく、幅広い層の日本人の好みに合わせたものです。 インドやネパールの食文化にこだわらず、知名度の高いインド料理として出しています。 日本各地に存在するインドカレー店は、インド人がやっているところもありますが、ネパール人が経営していることがほとんどのようです。 ネパールは出稼ぎ国家で、外食産業がネパール人の出稼ぎの手段になっています。 多くが、カトマンズから200キロ近く離れたバグルンという山に囲まれた地域出身です。 インドでコックとして働いてきたネパール人が、さらに大きなお金を稼ぐために日本へ渡ってきています。 法務省の統計では、2006年に7844人だった在留ネパール人の数は、2020年には9万9582人となっています。 バブル期に日本に出稼ぎに来るネパール人が増え、2000年代にビザの取得要件が緩和されました。 また、外国人でも500万円を投資すれば、経営・管理という在留資格を持って会社を経営できるようになりました。 しかし、日本にやって来るのも簡単な話ではなく、店を出すのにも多額の資金が必要になります。 親戚や銀行からお金をかき集め、海を渡って出稼ぎにやってくるネパール人たちが大勢いるといいます。 ネパール人コックは、インネパ店の店主が招聘する形で日本にやってきます。 働く店が決まっていないと、ビザが下りないからです。 来日するコックは、店主または仲介業者に仲介手数料を払うのが商習慣となっています。 来日したコック自身も後に独立して経営者となり、同じように仲介手数料をとってネパール人コックを呼び寄せるケースが多いそうです。 多くは、なんとしてでも稼いで一旗あげるとか、絶対に失敗できないという必死な気持ちで日本にやってきています。 もともと、日本のインド料理店では、ネパール人が多く働いていました。 それが独立して、お店を始めるようになったことからインネパが生まれ始めました。 インネパ店でも、お客がよく入る店とそうでない店の差があるそうです。 あくまで稼ぎに来てるわけで、日本人のお客さんを掴むため、いろいろ考えてメニューを開発しています。 いろいろな改造されたナンは、お客さんを意識して出されています。 これには、ネパール人のしなやかさとか柔軟性の象徴みたいなところがあります。 インド人から見たら許せないのかもしれないものでも、ネパール人は日本人にいかにウケるかを大事にしています。 インドの本場のナンは、日本で作られているナンほど大きくありません。 日本人は映えを意識するから、なるべく大きくしろといわれるそうです。 しかし、現地の人はもっとうすいチャパティとかを食べていて、ナンは外食時の食べ物という感じがするとのことです。 現在、日本では円安問題や経済不況だと騒がれていますが、それでも日本に来たいというネパール人はまだたくさんいるそうです。 カレーの原価率は一般的には20~30%といわれ、他の料理と比べても低いことが特徴です。 また、名物のナンはおかわりサービスをしていても、赤字になるような原価ではありません。 インドカレー店は特殊な厨房機器を必要とせず、最低限の機器を揃えるだけで十分といえます。 さらに、インドカレーは日本人に馴染みがあり人気の高い料理です。 インネパ店はオーナーやスタッフが家族や親戚である場合が多く、身内で経営することで人件費を比較的安く抑えています。 昔は単身赴任の出稼ぎスタイルが多かったようですが、今では家族を一緒に連れてくる人も増えました。 奥さんも働いて家計を支え、子供は日本の学校に通わせています。 一番の問題と感じているのは、カレー屋の子供のことだといいます。 親は経営に追われて忙しく、子供の面倒を十分に見れません。 日本に連れてこられた子供たちは、わけもわからずなかなか馴染むことができません。 また、子供の教育に関心の低いネパール人も少なくないようです。 このような問題があっても、日本が閉ざさない限りこれからもカレー移民は増え続けていく可能性が高いといいます。 本書は、インネパ点のメニューの源流を探し、在留外国人統計からネパール人が増加した歴史をたどっています。 母国からコックを呼ぶブローカー化した経営者や、搾取されるコックたちといった闇にも切り込んでいます。 背景には、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさもあるといいます。 第1章 ネパール人はなぜ日本でカレー屋を開くのか/第2章 「インネパ」の原型をつくったインド人たち/第3章 インドカレー店が急増したワケ/第4章 日本を制覇するカレー移民/第5章 稼げる店のヒミツ/第6章 カレービジネスのダークサイド/第7章 搾取されるネパール人コック/第8章 カレー屋の妻と子供たち/第9章 カレー移民の里、バグルンを旅する
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Last updated
2024.08.31 07:51:12
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