沢木遥の「幸せ力をつける練習日記」

人生の時間について考えてみるのに、よい方法を思いついた。
８０年の円グラフをつくってみること。
まず、円を描く。
てっぺんに０／８０と書き、タテ半分に線を入れる。
真下に４０と書く。ヨコに線を入れる。ケーキを４等分したように。
右側に２０、左側に６０、と書く。

さらに、０と２０の間に「１０」、２０と４０の間に「３０」を入れる。
これで８等分。
８０年は平均寿命に近い線だということと、円グラフをケーキよろしく
８等分しやすいので便利。
人生ケーキ、と名付けてみた。

じっと眺めていると、これがなかなか感慨深い。
下半円は、２０歳から６０歳。
大まかに、人はこの人生の半分を「現役」として過ごす。

４０歳は折り返し地点。スタート地点から最も離れ、次第に元の場所へ
戻ろうとするラインだ。
この前後１０年の４等分が、「現役」のなかでも、一番熱い時なんだろう。
さらに、３０歳から４０歳までが、このケーキ一つの達成であり、
醍醐味、といえそう。

こうしてみると、自分の位置がよく分かる。
３０代は本当に忙しいし、元気。
「働き盛り」とはよく言ったもので、仕事も私生活も楽しく忙しく、
なんでもできそうな気がするし、挑戦したいという意欲もわいてくる。
忙しくて大変で、年中フラフラしているが、まさに活況の時期。
いまはこんな日々が無限に続くように思っているが、
実は人生ケーキの一部。

４０歳を境に、人生の針は元いた場所に還ろうとする。少しずつ、人生は収束、
収斂、に向かおうとするのではないだろうか。
もちろん、６０歳までの４分の１円のカーブがあるので、人によっては
気づかないくらいだろうけれど。
（円グラフにすると、６０を過ぎると加速が増す感じがよく分かる）

昨日のコメントにきいろたんぽぽのほしさんが書いてくださったように、
私も、若い頃はあれもやりたい、これもやりたい、だったのが、
このごろ、そろそろ「自分はこれ」と思える何かを追求していきたい、
という気分になってきた。
時計の針の位置が、折り返し地点に少しずつ近づいてきたからかな、
なんて自己分析してみたりする。

子供は、遊んだ分だけ部屋を散らかしてしまい、すぐに収拾がつかなくなるが、
大人になるにしたがって、部屋を使いながら、細かく片づけて散らかさない、
というすべを身につけてくる。

生き方上手な人は、片づけ上手な人かも。
人生を散らかさない人。
それは夢がない、とかじゃなくて、
自分の人生もすっきりさせて、広い空間をつくれば、
のびのびと使うことができる、ということを知っている人。

きっと、人生ケーキ、その場所場所で、やることも違うし、
テイストも味わいも違うんだろう。
人生をひたすら前に進むだけの一直線、と認識するから、
成功とか成果とかが至上命題になって、焦るし息苦しくなるし、
老いなどは考えたくない、おそろしいものに思えてしまう。
けれど、ぐるりと一回りして元の場所に還る円だと考えると、
その場所ごとの「仕事」があるのだし、焦ることもなく、自分のトラックを
回ればいいと思える。
時間の流れも、早いときもゆっくりのときもある。

散らかして、また片づけながら、気持ちよく収斂させて、生きたいものだな、と思う。