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文具店などで150円くらいで売っているシールがある。
透明なセロファンの短冊に、小指の先くらいの小さなシールが ぎっしり張り付いていて、使いでがある。 スケジュール帳に、予定を目立たせるためにこのシールを貼っていたら、 5歳の娘が、めざとくみつけ、「ちょうだい、ちょうだい」と熱心にせがむので、 イイヨとやってしまった。 あっという間にいろいろなところに貼ってしまうのだろうなあ……、と思っていたら、 大事そうに通園バッグのポケットにしまい込んでいた。 ハンカチやティッシュの交換にポケットをのぞくたび、 シールは少しずつ、減っていた。 娘の下には、2歳の弟がいる。 二人とも保育園が違い、それぞれの場所が遠いので、送り迎えはかなり大変だ。 2歳の息子を保育園に送り、それから娘を連れて行く。その逆の日もある。 歩くと30分かかり、その間バスや電車はないので、タクシーを使ったり、 車で連れて行ったりする。 あるとき、息子を送っていった保育園で、わかれしな、娘が彼の手に、 シールを貼っているのをみた。 「りょうちゃんに、シールあげてるの」 「あら、そう」 そのときは、それほど気にもとめなかった。 子供は体にシールを貼ったり、なにか落書きをしたりするのが大好きで、 よくお互いそんなことをして遊んでいるのだ。 また別の日にも、朝、弟の手にそのシールを貼ってやっていた。 その姿を3回くらい見たので、 保育園に送った帰り、「シール、あげたの?」と聞くと、 「うん。今日はりょうちゃん、泣かなかったから」 「りょうちゃんが泣かなかった時に、おててにシール、貼ってるの?」 「そうだよ」 息子は9月に新しい保育園に変わってから、毎日毎日よく泣いた。 連れて行って、バイバイをすると、とたんに「うわーーーーん」。 先生が飛んできて、あわてて抱っこしてくれ、「ほら、ママにバイバイ、言おうね」 というのだが、さらに激しく泣きじゃくり、泣き声が外まで聞こえる。 最近まで、まるで日課のように、朝、息子は大泣きした。 日中は元気に遊んでいるそうなのだが。 このところ、「バイバイ」こそできないものの、泣かない日が出てきた。 娘は、弟が朝泣かなかった日に、手に小さなシールを貼っていたのだった。 弟のほうはきっとよく分かっていなかったと思うけど。 そして1週間前。 初めて、息子が朝、「バイバーイ!」と手を振ることができた。 保育園を出た娘は、ニコニコと本当にうれしそうに、 「りょうちゃん、きょうはバイバイできたねー、いい子だったねー」 と、何度も何度も言った。 自分だって、新しい幼稚園で、いきなり長時間保育。 泣きたいことも、さびしいこともあっただろうに。 弟がいつも泣いていることに心を痛めていたのだ。 「めぐのヨウチエンに来ればいいのに」 おねえちゃんだなあ。 泣いた日、泣かなかった日。 泣かなかったら、シールをあげる。 …… 久しぶりの楽天日記。 ささいな病気をきっかけに、よくいう、心の風邪をひいていました。 メールもネットもできなくなり。 原稿も書けなくなり。 つまりは、言葉を発信できなくなり。 焦ったり、自棄になったり、ただただ、ぼんやりしたり。 風邪に効くのは、栄養と休息。 心の……も、きっとそうで、 元気になるには栄養と休息が必要だということを知って、 少しずつまた、楽になってきたこのごろ。 元気な日、そうでもない日、行ったり来たり。 泣いた日、泣かなかった日。 泣かなかったら、シールをあげる。 (大人だってね) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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