1. ヘリコプターシャーク
鮫がそこにいるだけで場面には緊張感が走る。だからこそこの画像が作られた。2001年に発表され、その年のナショナル・ジオグラフィック誌の最優秀賞を獲得したという噂も出回ったが、それすらも嘘である。
実際には、アメリカ空軍のためにランス・チェン氏が撮影したゴールデン・ゲート・ブリッジの前を飛行するヘリコプターと、チャールズ・マクスウェル氏が南アフリカのフォールス湾で撮影した鮫を合成したものだ。
2. 日本のムーンメロン
四角いスイカを作り出した日本人なら、青いスイカもつくれてもおかしくない。海外人はそう考えていたようだ。この”ムーンメロン”を作成した人物は、ご丁寧にアシドゥス(asidus)という学名まで用意した。さらに、食べた者の味覚がしばらく変わり、1個24000円もするとの尾ひれまでついた。言うまでもなく、普通のスイカをフォトショップで青くしただけだ。
3. ライトアップされたインド
この写真は、10年間に渡って撮影された衛星写真を合成したものだ。1992~2003年におけるインドの光る地域の変遷が見て取れる。だが、あるツイッターのつぶやきのせいで、ヒンドゥー教の新年の祝祭であり、「光のフェスティバル」とも呼ばれるディーワーリーを写したものと大勢が誤解することになった。本物の話の方がずっと面白い。
4. 木にめり込んだ自転車
この写真で語られたエピソードとはこうだ。1914年、ある少年がワシントン州バション島に生えていた木に自分の自転車をチェーンで留め、そのまま第一次世界大戦に出征したが、二度と帰ることがなかった。
この画像に関していえばコラではない。実際にこの木は実在し、実際に自転車を巻き込んで成長しているのだがエピソードが改ざんされていたようだ。
実際には、当時子供だったドン・パズという人物が、1954年にまさにこの場所で自転車を捨てたことを覚えていた。地元でも有名な奇景だ。
5. ニューヨークを襲うハリケーン(その1)
気象写真は様々な風景に応用できるので、コラ職人に好まれる。こうした写真を組み合わせてアートにしてしまう者までいる。2012年に上陸したハリケーン・サンディを撮影したものと言われているこの1枚だが、まったく台風っぽくないその姿と、自由の女神の後ろに立ち並ぶ木々の大きさを考えると、まゆつば物と言わざるをえないだろう。
6. ニューヨークを襲うハリケーン(その2)
この画像はフォトショップを使うまでもない。地球温暖化による大災害を描いた映画『デイ・アフター・トゥモロー』のワンシーンを抜き取ったものだ。ざらざらした質感のフィルターとロゴを貼り付けただけなのだが、人々はまんまと騙された。
7. ニューヨークを襲うハリケーン(その3)
こちらも本物っぽい写真だ。これは2011年のウォール・ストリート・ジャーナル誌から拝借したもので、1年以上先の未来に起きたハリケーン・サンディを捉えたものとしてソーシャルメディア上で拡散された。
8. 神の手
これは酷い嵐が過ぎた後、雲が摩訶不思議な形状に変化した場面を撮影したと主張されていたものだ。元々は雲に丸い穴が空いた風景を捉えた非常に面白い写真だったのだが、後に冗談として手が追加され、その写真に様々なエピソードが付け加えられ世界中に拡散された。
【都市伝説】沖縄の雲 『神の手』の真実
9. アイルランドの城
見事だが、実在はしない。しかも、アイルランドですらない。タイの奇岩にドイツの城を乗せてしまったものだ。あるコンテストに出品された作品だそうだが、それがなぜかネットに流出してしまったという。
10. 政治的主張
この写真のように、政治的な動機からフォトショップが利用されることもある。これは2012年の選挙の最中に拡散されたもので、実際にはロムニー氏の子供たちはきちんとRomneyとなるよう並んでいた。
11. リューシストラテーの失われた寺院
リューシストラテーとは古代ギリシアの戯曲『女の平和』に登場する人物だ。本作品は、アテネとスパルタの戦争を終結させるために、女たちが夫との性的交渉を拒むというストーリーなのだが、そもそもそこに寺院など登場しない。写真自体は、ローマのパンテオンとポルトガルのアルガール・セコを合成したものだ。
12. 妊婦のお腹から胎児の足
自分のお腹にこんな足型が浮かんでしまった妊婦の皆さんは、悪魔払いを依頼しよう。こんなことは超常現象以外の何物でもない。胎児の動きを感じることはあるが、赤ちゃんと外の世界との間には分厚い繊維が存在し、こんなことはあり得ないのだ。
13. オーロラ
美しい作品であることは間違いないが、オーロラがこういうものでないことはご存知だろう。左の画像は、オリオン大星雲を山並みの後ろに配置したものだ。
14. 紫の森
左の画像はスコットランドにある紫の木々が生えた、不思議の森と言われていたものだ。実際には配色を変えたもので、スコットランドですらない。元になったのはニュージーランドの風景で、目を凝らせば遠景の木々に緑が残っていることを確認できるだろう。
15. ブータンの修道院
ご覧の通り、本当にあったら驚異的な場所だ。この奇岩自体は本物で、中国の天子山自然保護で撮影したものである。そこに後から彫刻群を追加した。
こうした画像の嘘が露見する経緯は様々だ。作成者本人が明かすこともあれば、誰かが元になった画像を発見することもある。場合によっては、ソフトウェアによって改竄を検出できる。だが、コラに警戒するあまり、本当に素晴らしい写真ですらもコラ扱いされるのは残念でならない。