皆さんは、「詐欺師症候群」という言葉をご存知でしょうか?
あまり聞き慣れない言葉ですが、最近ではハリウッド女優のエマ・ワトソンが「詐欺師症候群」であることを告白したことで話題となりました。
では、詐欺師症候群とは一体どのような状態なのでしょうか?
詐欺師症候群とは......?
詐欺師症候群とは、自己評価が低く、自分の成功や業績、他人からの評価などを受け入れない、という状態です。特に女性に多いのも特徴の一つです。
例えば、昇格に対しても自分の実力を認めてもらえた、とは思えず、「たまたま運が良かっただけ」「たまたまポストが空いていただけ」「上司や周りの人が素晴らしいから」などと考えます。
また、「私は自分を評価してくれている周りを騙しているのではないか」と、評価されればされるほど自信がなくなって、いつか自分が偽物だとバレるのではないかと不安になる傾向があります。
ベストセラーとなったシェリル・サンドバーグの著書『LEAN IN ―女性、仕事、リーダーへの意欲―』の中でもこの詐欺師症候群について述べられています。
自分は評価に値する人間だとは思わずに、たいした能力もないのに誉められてしまったと罪悪感を覚え、まるで誉められたことが何かのまちがいのように感じること。十分な実力がありながら理由もなく自信をもてずに悩む症状でImpostor=ペテン師の意味。自分の業績を誉められると、詐欺行為を働いたような気分になり、そのうち化けの皮がはがれるに違いない、などとおもってしまう。女性の方がなりやすく、この症状に束縛されやすい。(実力相応の仕事にもかかわらず、自ら手を挙げないので、上昇志向が無いなどと誤解されやすい。)
出典:シェリル・サンドバーグ著 『LEAN IN ―女性、仕事、リーダーへの意欲―』
この記述に対して、共感できると感じる女性も多いのではないでしょうか?
なぜ詐欺師症候群に陥るのか?
脳とホルモンの構造から、女性と男性では成功や失敗に対する考え方が異なると言われています。成功に対して男性の多くは「自分の実力が認められた」と考えますが、女性の多くは「周りの人や運が良かっただけ」と考える傾向があります。
また、失敗に対して男性は「時期が悪かっただけ」「上司の協力が足りなかった」などと原因を外に求める傾向があります。しかし、女性の場合、「自分の頑張りが足りなかったからだ」などと自分に原因を求める傾向にあります。
このような元々の脳の構造に加え、周囲からの過剰な期待がさらなるプレッシャーとなり、詐欺師症候群が引き起こされると言えるでしょう。
詐欺師症候群に陥らないために
詐欺師症候群に陥ってしまうと、自身のキャリアへの意欲をも失いかねません。せっかくの優秀な社員も、自信の無さで成果を上げられなくなってしまうのはもったいないことですよね。
では、詐欺師症候群に陥らないようにするために、私たちは何が出来るのでしょうか?
完璧を信じるのをやめる
非の打ち所のない、完璧な人間になろうと努力することが、想像以上に自分にマイナスのプレッシャーをかけてしまいます。これにより、完璧にこなせない自分に苛立ち、生産性や創造性の低下につながりかねません。
そもそも、人によって完璧の基準は異なるのですから、非の打ち所のない完璧な人間など存在しません。逆に、完璧すぎるよりも少し出来ないことがあったり、苦労していることが、人間的な魅力に繋がります。
完璧を信じるのをやめ、適度に力を抜いて、自分に出来ないことは周りに協力を求めることも大切です。
失敗を機会だと捉える
自信がなく、失敗することに対して恐れてしまうのも詐欺師症候群の特徴です。しかし、失敗からしか学ぶことができないこともたくさんあるものです。
全てを始めから知っていたら、何も学ぶことはありません。何も学ぶことのない人生など、非常に退屈だと思いませんか? 「知らないことがたくさんある」「失敗することがたくさんある」ということは、「学ぶこともたくさんある」ということなのです。
言葉遣いを改める
自分の成し遂げた業績について話す時、過剰に卑下していませんか? 「単に」「ただ」「だけ」などという言葉を使って自分の能力や成功について話していたら、改めるべきです。
例えば、「成功したのは運が良かっただけ」などと考えてしまうかもしれません。こんな時、「普段頑張っている分、運が味方してくれたのだ」と成功と自分の頑張りを素直に受け止めることが大切です。
自信を持てなくなると、新しい挑戦の機会が巡ってきても、活かせずに成長のチャンスを失いかねません。完璧の基準は人それぞれなのですから、完璧な人間なんてどこにもいません。失敗をしないと得られないものだってあるものです。
自分に自信が持てなくなった時は、過去の自分の成功を思い出して、自分の頑張りを認めることから始めてみてはいかがでしょうか?