昨年アフガンで暗殺された中村哲氏の書かれた本を2冊読みました。それまで知らなかった方でしたが、この2冊を読んで、すごい方だったのだなととても感動しました。
アフガニスタンの無医村地に医療を行うため渡り、そこで活動された医師で、そのさなかに引き続く大干ばつ、さらにタリバンの政権とアメリカやロシアなど外国の干渉や内紛で大量の難民が生じるさなか、政争にかかわらずただ農民のために水を確保する。
この本を読むまでたんに井戸を掘るだけではないかと日本の状況を思い浮かべていたのですが、とんでもない話でした。なんと深さ60メートルに及ぶ井戸だったのです。しかもその地盤が日本のように土ではなく沢庵石のようなごろ石、中には子牛のような大きさの石まで・・。井戸ですからそこにぶつかればそれを避けるわけにはいかない。まっすぐに掘らなければいけないのです。
これを日本人スタッフと、現地の人たちを面接して雇い、技術を習得しながら掘り進めたのでした。外国のNGOが掘った井戸はすぐに涸れてしまう、それを深く掘りなおしたり、新たな必要な場所を検討して掘り、完成した後も現地の人たちで直せるように技術や用具を置いて行くなど、本当に現地のためになることを進めたのでした。外国のNGOは目立って宣伝になる所にしか作らない。しかし中村さんは交通不便でも本当に村落に必要なところに村民と話し合いながら作っていったのです。その個所数626ヶ所。機械力に頼らす人力で掘ったとか。それが一番効率的だったようです。
それが2001年発行の医者井戸を掘るの内容でした。いまから20年も前。そしてそれでも根本的解決にはならないとその後に用水路を掘ったのです。これで数百万人の現地の人が生活できるようになったのです。
私が感心したのはその業績もさることながら、現地の人たちの賛同を得ながら人力作業の動員を図りそれを機能的に動ける組織を作り上げていったことです。規模が大きくなるにしたがって車やトラックなどさらには重機を調達していく。
その支えをしたのが日本での募金活動だったと言うのです。募金だったから国などの補助金と違って面倒な報告書類を作成することなく、スピーディかつ効率的に現地対応が可能になったというのです。
こんなすごい人、アフガニスタンに貢献した人がなぜ現地で暗殺されてしまったのでしょうか。本人と確認して殺害したようですからなんとも理解がしがたいです。いやー、世の中にはすごい人がいるものですね。
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最終更新日
2020.01.30 19:12:44
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