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ヤンソギルさんの「夏の炎」の紹介です。
これは1974年に実際にあった、在日韓国人である文世光が光復節の式典会場で韓国大統領朴正煕を銃撃した事件を題材にした小説。(朴大統領は無事だったが、夫人が殺害された) 在日韓国人の主人公「宋義哲」が韓青協の運動で祖国統一を目指しているが在日の中でも韓連・韓青協・韓学連などなかなかそれぞれ思惑がありまとまらない。 祖国統一の願いは希望のまま進展なく苛立ちが募ってる頃、金大中が日本のグランドパレスホテルから拉致される事件が起こった。(5日後に痛々しい姿ではあるが自宅前で無事発見された)その辺りがきっかけとなり現在の状況を打開するには韓国大統領朴正煕を取り除く以外にないと思い始める。その時代背景(民主化運動・学生運動・浅間山荘事件・テルアビブ乱射事件・ベトナム戦争などの頃)から北朝鮮の工作員・アジア民族解放戦線の闘志・KCIA・公安警察・アメリカCIAなどが「宋義哲」に絡んでくる。それぞれの事情思惑か絡み合っての選択余地を狭められ「宋義哲」は大統領に向けて銃を発射する。 警官の銃を奪うアジア民族解放戦線の張り込みや連絡の取り方、その連中を一枚上から尾行し捕捉しているKCIAと公安の関係、またアメリカの脅しによりこの暗殺計画を分かっていながら手は出せないあたりが興味をそそられる。 事実が全て明らかになってないので本当の事は分からないがそんな背景があっての在日青年の大統領暗殺未遂事件だったのかと納得でき考えさせられた。 まだ学生だった自分には実際あった出来事としては記憶にはある。しかし当時は貧しかった軍事政権の韓国・社会主義で朝鮮半島を統一したい北朝鮮・ベトナム戦争の拡大を引きずられるアメリカ・アメリカの顔色を伺うしかない日本それぞれの社会的経済的状況が絡んで起こった事件だったんだと断片の記憶が繋がった気がする。 その後以前に紹介した「大統領の理髪師」に繋がって、大統領朴正煕は車警護室長と共に酒席の場で中央情報部部長金載圭に射殺される。今は韓国も豊かになり日本の歌の流せるようになり日本も韓流ブームで少しいい時代になって来てるけど、その時代を乗り越えてこれたからこそなのかなっと思う。 また実際の「文世光」の死刑執行時の最後の言葉「私が愚かでした。韓国で生まれたらこんな犯罪は犯していないでしょう。」考えさせられる重い言葉だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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