民話・どじょうの牛蒡背負(ごぼうせおい)
どじょうの牛蒡背負(ごぼうせおい)昔、この地の宿屋に殿様が泊まった。宿の主人に、この地の名物 どじょうに牛蒡(ごぼう)を加(くわ)えて出すようにとの沙汰である。主人は早速 賄いの者に左様致すよう命じた。賄いの者は、どじょうに牛蒡をくわがせるなどどうやっても出来ない。知恵を絞ってどじょうに牛蒡を結びつけて出した。殿様が「これは何という料理か」と尋ねると「はい、これはどじょうの牛蒡背負いと申します」「左様か、どじょうに牛蒡を添えて出すようにと申したが、これは格別」翌朝殿様から手水(ちょうず)を廻すようとのこと。宿屋ではまたまたの難問に「長頭(ちょうず)を回せというが、一番長い頭は誰だんべぇ」と相談が始まった。「早く廻さぬか!」との催促に汗をかきかき「はぁ、しばらくお待ちを」相談の結果一里ばかり離れたお寺の和尚がよかろうということになり早速、迎えの者が連れてきた。殿様、早く出さぬかと怒り始めている。和尚さん前に進み出て「おそれながら私奴(わたしめ)が長頭を回します」と頭をくるくると振りはじめた。それをみた殿様、大笑い「ちょうずとは手洗いばちのことだが、大変ご苦労であった」殿様よりねぎらいの言葉があってめでたし、めでたし!私の父が編集した田舎の民話です。挿絵(さしえ)は私のカミさん担当。全体構成とああせい、こうせいは私奴(わたしめ);;;でした。