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遠方からの手紙

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ここで、「遠方からの手紙」というブログの題について説明しておきたいと思う。
知っている人は知っているだろうし、知らない人は知らないだろうが(こりゃ当たり前だ)、この言葉は、亡命先のジュネーブで帝政崩壊の知らせを聞いたレーニンが、ロシアの同志に宛てた手紙の題名から取っている。

この命名がレーニン自身によるものか、それともレーニンの手紙を当時のロシア社会民主党(ボルシェビキ)の機関紙「プラウダ」に掲載した編集部によるものなのかは、今はちょっと確認できないが、事実としてはスイスのジュネーブからロシアのペトログラード(ペテルブルグ)に送られたという意味で、文字どおり「遠方からの手紙」なのである。

だが、この言葉にはなにやら象徴めいた意味も汲み取れる。
突然の革命勃発に不意を撃たれ、独自の路線を提起することもなく自然発生的な革命の流れについていくのが精一杯だった国内指導部にとって、プロレタリアートによる権力奪取への準備という方針を提起したレーニンの手紙は、単なる地理的な意味だけでなく、まったく別の世界、遠い世界から届いた手紙のように思えたに違いない。そういう意味でも、「遠方からの手紙」という題にはなにやら象徴めいた響きがある。

有名な「封印列車」でドイツを通過してロシアの首都に到着するや、優柔不断な国内指導者らを叱責し、「四月テーゼ」を発表したレーニンは、彼らにとってまさに遠い世界から来た理解を絶する人であり、長い亡命生活によってロシアの現実を忘れてしまったただの夢想家にしか見えなかったはずである。

この言葉をブログの題にしたわけだが、むろんレーニンを気取っているわけではない。
また、レーニン復権を目指そうなどというわけでもない。
正直に言って、いろいろ考えているうちにこの言葉がふっと頭に浮かんだだけのことである。

昨今、レーニンの評判はめっきり落ちてしまった。そのことにはもちろんそれなりの理由はあると思う。また、かつてのように巨大な銅像をあちこちにおったて遺体に防腐処置を施して安置する(これはレーニンの妻の抗議を無視して行われたものだ)といった神格化(その一方で、スターリンの粗暴さを批判し、彼を指導部から追放しようとしたレーニンの遺書は黙殺されたわけだが)に対する解毒剤としては、やむをえない過程なのかもしれない。ただ、レーニンという人はもちろん無謬ではないが、それでも100年に1人現れるか現れないかという優れた人物であったことは否定できないし、また否定すべきでないと思っている。







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Last updated  2006.12.25 17:50:33
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