花のうた
現代日本の花と言えば桜だが、これが古代では梅が花見の代表であったという。秀吉の醍醐の花見は有名だが、庶民の行楽となったのは江戸も中期以後である。 きみならで誰かに見せん 梅の花 色をも香をも知る人ぞ知る とものり 春風の花を散らすと見る夢は 覚めても 胸のさわぐなりけり 西行 咲き満ちて こぼるる花も なかりけり 虚子花は日本人に一番愛されてうたわれてきたが、戦前に軍歌に取り入れられて 咲いた花なら 散るのは覚悟 見事散りましょ 国のためと 何の疑いもなく歌わされ、戦争に駆り出されて前途のある若者が何百万人も死んで敗戦。歌は世につれ 世は歌につれ と言いますが、二度とあのようなことのないように気をつけよう。