先月、唐突にお袋が店の処分を12/22にすると言い出したので、慌てて有休を獲った。

結局、21日22日の二日間で行うらしいが、急に言われても22日しか行けない。

当日、道が混んでいて着いたころには既に店の前に沢山の古い箪笥やゴミで埋め尽くされ

その前に大きなパッカー車が止まっていたためギャラリーまで集まっていた。

叔母も来ていたので、店の歴史をちょっと聞いた。

叔母の話では店をここに出したのが53年前だそうだ。

叔母が16歳の時らしい。

その後、俺が生まれて働いていた叔母は毎日のように俺におもちゃを買って来てくれたらしい。

俺の記憶の片隅には確か弟が生まれる前に親父と二人で家に帰る前に叔母が帰って来て

毎日のようにミニカーを買って来てくれたのを覚えている。

暫くすると、家具が次々にパッカー車に投げ込まれた。

バキバキバキっと鈍い音で壊されていく家具。

何とも言えん。

家具が片付くと今度はゴミ袋に入った燃えるゴミ。

その中で俺は祖父が愛用していた蝙蝠傘を見つけ取り出した。

祖父と幼い俺は初孫だったので色んな所へ連れていって貰った。

祖父が愛用していた蝙蝠傘は持ち手が木で彫刻が施されたもの。

それ取り出して、本当は祖父母の形見が恐らくゴロゴロあるんだろうと思ったけど

自分勝手なお袋のせいで目の前のゴミに紛れているんだろうと思うと何だかなぁ～

昼過ぎに作業は終了。

お袋を家に送って、お袋にはあえて言わずに親父の病院へ向かった。

親父にどこまで理解できるか分からなかったけど、店が片付いたことの報告を済ませた。

親父は絞りだした声で

「有難う」

と何度も言っていた。

その姿があまりにも悲しかったので、足早に病院を出た。