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成績があがらない本当の理由

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2005.05.09
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カテゴリ:算数・数学


「えっ、これってかけ算なの?」

「・・・・・。」



算数が苦手という、ある小学6年生。

割合の文章題を解いているときでした。

「100円の4分の3はいくらでしょう?」という問題で、

この子の答案は以下のようなものでした。

  100÷4=25
  25×3=75    A.75円


一般的な答案は

        3
  100× - = 75
        4
             A.75円


となると思うのですが、これでも間違いとは言えません。

いつものように、どうしてこういう式にしたのか聞いてみました。

「ええっと、4分の3は、4分の1が3つ集まったものだから、
 まず4分の1を求めました。(100÷4=25の部分)
 4分の1が25だから、4分の3は、その3倍(25×3=75)
 だから、75円。」

完璧です。

分数の掛け算の概念を、完璧に導き出してます。

それも独力で。

「いい答案だね。誰かに教えてもらったことある?」

「わからないから適当に考えたの。」

「えらい!そう、それでいいんだよ!」



馬鹿な私はそこで気がつきました。

(もしかして、分数の掛け算をまだ習ってない?)

今の学習指導要領では、分数の掛け算は小6でも2学期ころに習うのが

普通です。このときは5月でしたから、当然学校では習っていないのです。

ただ、学校とは別に私立中学受験向けの某学習塾にも通っていましたので

私は、当然、習っているものと思い込んでいたのです。



ところが

「ごめん、分数の掛け算ってまだ習ってなかったよね。」

と確認すると、

「え、分数の掛け算なら、もう習ったよ。」

と言って、塾のノートを見せてくれました。

そこには、分数の掛け算・割り算の計算がびっしりと・・・・。

「あれ?じゃあ、この問題は、どうして分数をそのまま掛けなかったの?」

「えっ、これって掛け算なの?」

「・・・・・・。」



進学塾では、計算を先行学習させる場合に、計算のやり方は教えますが

計算の意味は教えないことが多いのです。

そうすると、計算式がはじめから書いてあればスラスラ解けるけど、

文章題になると、掛けたらいいのか、割ったらいいのか、自分で判断できなく

なる子が出てきます。

掛けることの意味がわかっていないのです。



問題集でも、よく見てみてください。

新しい単元に入ったときに、まず計算問題があって、次に文章題というものが

とても多いです。



本来学ぶべき順序はまったく逆です。

わかりやすいので足し算を例にしますと、

まず、子どもがイメージできる具体例で問題を与えます。



「ネコが3匹いました。あとから2匹やってきたら、全部で何匹になりますか?」

と言いながら、おはじきや絵などでイメージさせます。

「5匹!」

「そうそのとおり。

 こういうのを足し算って言ってね・・・、」

3+2=5(紙に書く)

「って書くんだよ。」

そのあと、何問か文章題をさせ、おはじきなどで答えを考えさせ、

それを後から、式に書いてもらう練習をします。

式だけの計算練習は、それができるようになった後にするのです。



文章題で意味を理解してから、計算練習をすれば絶対に理解できます。

「3+2」なんて式を知らなくても、計算はできるし、文章題も解けるのです。




それを、先に式だけで計算練習をさせるから、意味も考えずに計算するように

なるのです。これは、「文章題は難しく、計算問題は易しい」という教える側

の間違った先入観のせいだと思われます。

ところが、子どもにとっては違います。特に小学校低学年のうちは、抽象的な

思考力はほとんど未発達ですから、「3+2=5」などと言う抽象的な式から

考えるのは不自然で難しいのです。子どもにとっては「ネコが3匹・・・・」

の方がはるかに具体的でやさしいのです。

やさしい具体的な世界を難しい抽象的な世界に翻訳して考えるのが算数の勉強

ですから、文章題から計算問題と言う流れは、小学生のうちは必須です。



でも、学校の先生からして、このことを理解していないように思われます。

きっと、教員採用試験が難関になり、学校の先生がみんな優秀なエリートばかり

になったせいではないかと、密かに思っています。




さて、この小学6年生。

算数が苦手とのことですが、思考力があることは、この割合の解き方で

証明されました。問題は、計算の意味を理解せずにこなしてきたことです。

本人だけの責任とは言い切れません。





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最終更新日  2005.05.10 11:59:11
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