太陽系の中の地球とは?その5 地球生命の出現
地質記録(堆積岩)中に生命の出現を認識する手がかりとして、 1 微生物化石の存在 2 ストロマトライト 3 炭素同位体組成 の3つを挙げることができます。微生物組織としては、内部に節を持つフィラメントや、球状、顆粒状の粒子が作るブドウの房状の集合体が、オーストラリアの35億年前の地層から報告されています。また南アフリカの33億年前のチャートからは細胞分裂のさまざまなステージを示すような球状組織が発見されました。これが初期生命の痕跡と考えられています。フィラメントや顆粒状構造は始生代に特有のものではなく、原生代、顕生代にも普遍的に見られる生物組織であり、初期生命の形が現在まで変わらず生き続けているということができます。火星隕石に見られた微細構造も節のあるフィラメントです。光合成するフィラメント状のシアノバクテリアは、炭酸塩鉱物をフィラメント中に沈殿する一方、フィラメントによって海水中を漂う細かい炭酸塩粒子を沈着し、mm程度の厚さのラミナ(礫や砂、泥の粒子から構成される最小単位で表す層)の発達する層状の炭酸塩岩を作ります。これをストロマトライトといい、現在ではオーストラリアのシャーク湾などに細々と分布していますが、先カンブリア時代には浅い海に広く分布していたことが分かっています。←シャーク湾ストロマトライトは光合成微生物の生産物であり、生物存在の確かな証拠ですが、温泉水や地下水から沈殿した葉理(ラミナ)石灰岩にはストロマトライトに酷似するものがあります。←ストロマトライトストロマトライトの発達、光合成による酸素生産は大気酸素分圧を上昇させ、酸素呼吸を可能にしました。このことが原核生物から真核生物、さらに多細胞、後生生物への進化を促したと考えられます。炭素同位体組成は、微生物が破壊されてしまった堆積岩や変成岩で、生物出現の有効な手がかりです。