子どもの夢の家

トム・クルーズがディスレクシア（読字障害）という話は、LDの親の間では、10年近く前から、たいてい皆知っている。
「うちの子もトム・クルーズみたいになれる？」と一瞬思う人が多いのもおもしろい。
たいてい、「あ～、背が高くてハンサムだったらね～。」とため息をつくか、落ちがついて笑い飛ばすことになる。

中1の息子に英語を教えている時、トム・クルーズがディスレクシアであることと、どうやって台本を覚えているのか話をした。
アルファベットが混乱するのが自分だけではないことと、トム・クルーズのように成功した人がいることが嬉しかったようだ。

小学校入学時から養護学級に在籍している息子は、最初から「何で養級に行かなあかんの！？」と、養級での個別指導を嫌がっていた。
みんなと一緒に授業受けたいよな～。
親が良かれと思うことを、子どもが辛いと感じるのは、親としてはこんなに辛いことはない。
「お話できるようになったのが遅かったから、勉強もゆっくり丁寧にがんばろうね。」
そう言い聞かせるしかなかった。

事あるごとに、何が苦手で何が得意で、苦手なことはどうしたら楽にできるか、辛い思いをしなくて済むか、話して聞かせてきた。
診断名以外のことは、ほとんど息子に話していると思う。
でも、診断名は言えない。
診断名を言うことが告知とは思っていないが、いつかは言うべき時が来る。今はその時ではないと思うし、その時に備えてやっておくことがある。