カテゴリ:選手・解説者
1971年10月8日生 身長182cm 体重87kg 右投 右打
星林高~青山学院大~福岡ダイエーホークス→巨人→福岡ソフトバンクホークス 通算 2057試合 2041安打 413本塁打 1304打点(本塁打王1回、打点王1回) 奈良原さんからの質問を聞くたびに僕は思いました。 (あっ、考えていなかった…)僕は奈良原さんの耳元で答えます。 「すいません、何も考えていませんでした…」 「良い監督」とは?それを構成する要件はなんでしょうか。短期決戦であればただ一点「勝利をもたらすことが出来るか」に集約されます。その結果が出せない場合どうなるか…まして日本代表監督という立場であれば… 冒頭のやりとりは奈良原ヘッドコーチがランナーに自己判断で盗塁を行って良いという許可(いわゆるグリーンライト)を出すべきかを小久保監督に問いかけた際のものです。新生侍ジャパン監督としての初陣、台湾三連戦(26歳以下プロアマ混成チーム)の初戦とは言え…これ以外にもブルペンにコーチは置かなくていいと思っていた等、いや、これ書いてしまっていいの?という舞台裏のやり取りが満載です。小久保監督の侍ジャパンの試合にやきもきされた方であれば全員必読といえるでしょう。 小久保裕紀監督の選手時代の球歴は輝かしいものでした。しかし一方で1997年には脱税事件の主犯格としての有罪判決、2003年には不可解な巨人への無償トレードなど黒い話も中々多い人物です。12球団での監督どころかコーチ経験すらないまま、「さわやかであること」「現役時代からのキャプテンシーが魅力的であること」(書籍より引用)という理由で侍ジャパン監督へ就任することについても疑問の声が上がっていました。そしてプレミア12で3位という結果に終わったこと、韓国戦の大谷(当時日本ハム)投手交代のタイミングについて凄まじいバッシングが巻き起こることとなります。(この交代については大谷が指の怪我でこれ以上投げさせることができなかったことが明かされているので、采配ミスと言っていいのか疑問が残りますが) 現場の裏を後出し公開するのはどうか、と考えられる方もいるでしょう。 しかし ・自身の監督就任に向けNPBが動いていることをスポーツ紙の報道で初めて知った ・「コーチの人選は一任する」という条件のもと監督就任したにも関わらず「侍ジャパン運営に大きな影響力を持ちWBCの主催者でもある読売新聞社の推薦~」で鹿取義隆氏が投手コーチに就任、「NPBサイドからの要望」で小島啓民氏が打撃コーチに就任(どちらも小久保監督自身異存はなかったとのことですが) ・メジャーリーグ球団所属選手を口説くため単身渡米したのに参加メンバーが青木宣親(当時アストロズ)のみ ・そもそもダルビッシュには会って話すことすらかなわなかった ・大谷翔平投手・打者共にWBC不参加をタクシーの中で携帯電話のニュース速報(!)で知った …などあまりに小久保監督に同情を禁じえないエピソードが多すぎます。 記載されている内容が全て真実でなくとも、いや大分誇張された内容であったとしても、小久保さん本当にお疲れ様でしたと言わずにはいられません。就任時からWBC終了まで、小久保監督への監督としての資質が再三問われました。冒頭のエピソードや精神論に偏りがちな面は確かに一部批判されてしかるべきものもあるでしょう。しかそれとは切り離して考える問題として「NPBの監督へのサポート不足」、これがほとんど問題視されないように思います。 毎度毎度国際試合で問題になるのがメジャーリーガーの出場可否ですが、これは監督と選手間の話し合いではどうにもなりません。NPBとMLBが交渉がなければどうにもならないと思うのですが…辞退の度に監督とメジャーリーガーばかりに批判の矛先が向かっている現状がなんとも歯がゆいのです。 個人的お気に入りエピソードは「中畑清推薦による筒香嘉智の選出」「中田翔へ四番の座を中村剛也に譲って欲しいと告げた瞬間ホッとした表情を浮かべていたこと」「MLB所属選手の中でイチローだけがもう命は削れません…と選出を断ったこと」「大谷辞退をタクシーの中で知った後の権藤投手コーチとの会話」などなど。中でも(第九章)侍ジャパン戦士たちへは監督から選手一人一人へのメッセージがあり涙無しには読めません。 小久保監督改めて本当にお疲れ様でした、と心から言わずにはいられない一冊、オススメです。 そして稲葉新監督へはNPB・12球団からのサポートが十分になされることを強く、強く祈ります。
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Last updated
2018年07月29日 23時02分24秒
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