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2008.10.21
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カテゴリ:酩酊秘話

 お酒を飲んでの失敗は結構あるが話せるうちのその一つである。

 今から10数年前、上司と出張。出張先で職場へお土産を買うことになり代金は
上司と割り勘で支払った。
 当然のことだが買ったお土産は私が職場へ翌日持って行くことになった。

 私と上司は出張先から熊本へ帰着し熊本市内で一杯飲むことにした。私は
上司と別れたあとも一人で飲んだ。

 あくる日、目を覚ますとバッグはあったが土産が無い。酔っ払って失くしたのだ。
私は困った、上司にどのように説明しようかと。

 正直に「実はあれからまた一人で飲みに行きましてお土産を失くしてしまいました。
すみません。代金をお返しします」と言った。上司はお金を受け取ることもなく黙って
いた。
 結局、昼休みに同等の品を買って職場へ「二人からのお土産です」と言って差し出し
たのでした。

 そう、司馬遼太郎の「坂の上の雲」にこんな一節がある。山県有朋がパリを訪れたときの
出来事である。

  パリ滞在中は、好古を案内役のひとりにした。ちょうどわるい時期でフランス
 陸軍の高官の多くがパリを留守にしてリヨンにいた。山県はそのひとりに日本
 から持参した土産物をとどけようとし、その使者として好古をえらんだ。
  ところが好古は、ほどなくパリへもどってきた。
 「なんだばかに早かったじゃないか」
 と、山県がおどろくと好古は恐縮し、じつはそのお土産物のことでありますが、
 といった。
 汽車の中で酒を飲んでいるうちに紛失してしまい、やむなく途中から引き返し
 て参りました、といった。

 このときの好古の心境やいかに。私はこの出来事から上司と二人で買う土産物が
嫌になったのである。






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最終更新日  2008.10.21 07:11:24
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