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カテゴリ:酩酊秘話
深夜、自宅マンションに戻ると玄関からエレベータに向かって赤い雫がポタポタと 床に落ちていた。 その雫はエレベータに乗り、住んでいる同じ階で降りてさらにポタポタと落ちて続いていた。 ひょっとしたら血かも知れない。我が家の方に向かって続く雫。 我が家ではありませんようにと祈ったが、その雫は自宅ドアの前で止まった。 部屋に入ると縦長の濡れた紙袋が流し台の横に置かれていた。 (ここまで二男の後日談) 私は「オヤジ、いい加減にせえよ、もう飲むな!」という二男の声で起こされた。 二男はバケツと雑巾を持っていた。 玄関から自宅まで続いていた赤い雫を真冬の冷え込んだ深夜に拭いてきたという。 息子から叱られたが「ごめん、すまん。ありがとう」と謝った。 (時刻は午前1時前だった) 宮崎県に「都農(つのう)ワイン」という美味しい私のお気に入りのワインがあるが、 その夜、その都農ワインを友人から譲ってもらって持ち帰る途中だった。 都農ワインが入っていた紙袋 「赤い雫がワインでよかったけど、床に染み込んだら大変なことになるだろうと思って拭いた」 と、二男が付け加えた。 私の失態で深夜に申し訳ないことをして息子に迷惑をかけてしまった。 でも、寒い中で床をすぐに拭いてくれたという二男の行動がとても嬉しかった。 2015年の最後の麻雀を楽しんだ日、数名で一杯飲んでいい気分となり、 さらにハシゴしてタクシーで帰宅。 自宅マンション前でタクシーを降りたとき、ワインが入った紙袋を玄関前の 階段の上にぽんと置いたら底が割れてしまった。 割れたワインは紙袋ごと植え込みに置いておき、翌朝片付ければ赤い雫が床に落ちることは なかったのだが、酔っていたのでそこまで気が回らなかった。 朝早く、少し明るくなって拭き残しはないかバケツと雑巾をもって確認しに行くと、 暗がりだったと思われるところに数か所拭き残しがあった。 防犯カメラには息子と私の床を拭いている姿がバッチリ録画されたことだろう。 私は起きてきた二男に「夕べはありがとう」と、お礼を言った。 二男から何か一言言われるだろうと覚悟していたが、二男は返事もせず黙っていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.01.18 08:37:49
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