カテゴリ:ショートストーリー
久しぶりにショートストーリー。
フィクションだと言い続けてきているのに 信じてくれるヒトも多い。 実際はそういうイロっぽい話に縁遠い生活。 私ってインターバル女だなあ。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 『恋の達人』 ひとしきり 言い訳めいたたわいもない世間話が終わって、 「最後に逢おうか、どこかで」と彼がつぶやいた。 本音では そんなふうには思っていないくせに 最後まで優しげなふりをするのは 悪者になりたくないからでしょ。 「ううん、もう逢うことはないでしょう。この電話を最後に。」 今ならば 「ありがとね」と強がったまま、電話を切ることができるから。 今ならば 冷静に私が好きだったあなたのいいところを認め、どうしても お互い譲れないことにも納得をしたままでいられる。 また 顔を見てしまったら、一緒に過ごした時間を噛みしめたりとか 恋が始まった頃の自分を愛おしんでしまうかもしれないし。 我を失った私をなだめるあなたには もう愛情は残っていなくて 妹に対する 想いみたいなものだけであることに 瞳の奥の影が気付かせるから。 最愛な人にさえ 負けたくない、と最後のこのひと時まで 思ってしまうことが きっと私のオンナとしての敗因なのだろう。 世間が充分「大人」と認める年齢になって いろんな恋を踏み越えて それでもまだパーフェクトにはなれないでいる。 懲りない自分に苦笑いをしながらまたきっと誰かを好きになってしまうのだろう。 きっと恋って自分の足りない部分を補うために 何者かが差し向けてくれるチャンス みたいなものなんじゃないか? 今日の新聞にまた女性の平均寿命が延びた、と書いてあった。 死ぬまで何十年もの間に あと何人のヒトと出会って、酸っぱかったり、甘かったり 苦かったりする気持ちをどれだけおんぶしていくのだろう。 想像するだけで 軽い疲労感とそれでも捨て切れない期待感が交互に胸のなかで 行きかっている。 傷ついた分だけ 人にやさしくなれそうだし、うれしいことがあれば ココロがすぐに 三段跳びを始める。 ポジティブっていうのは ちょっとばかり オツムが足りないくらいがいいらしい。 自己中心的で 一定方向にだけ前向きな 私。 本当に好きなのは自分自身だけかも。 そのどこが悪いのだ!と次の恋が始まるまでは 少々はすっぱなオンナでいよう。 どうせ またすぐに可愛いオンナになってしまうのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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