「カッコーの巣の上で」(1975年、アメリカ、ミロス・フォーマン監督)
邦題「カッコーの巣の上で」(1975年、アメリカ、ミロス・フォーマン監督)学生時代に観て大きな衝撃を受けた作品。当時は主に内容と画面に流れる一部の露骨な映像が印象に残り、何とも重い気分を味わったものだが、48年ぶりにDVDで再鑑賞してみれば、昔とは違った感想も得た。決して明るい映画ではないものの、時代や国を超えて語り継がれる普遍的なテーマを持つ傑作。(あらすじ)1960年代のアメリカ。若い娘との淫行騒ぎを起こし、刑務所での強制労働を嫌ったマクマーフィー(ジャック・ニコルソン)は、精神障がい者を装って、田舎の精神病院に入る。そこで見たものは、「治療」の名のもとに、個々の人間性を抑圧して患者を徹底的に管理する病院体制。そのシステムに君臨するのが、看護婦長のラチェッド(ルイーズ・フレッチャー)だ。根は陽気でリーダーシップもあるマクマーフィーは、非情な病院側の態度に反発し、無気力にされた患者たちに徐々に「自分」を取り戻させるが、、、。ラストは哀しいと言うべきか、一筋の希望をつないだと言うべきか。ただ、これだけはわかる。母親を極端に恐れる患者の1人、ビリー(ブラッド・ドゥーリフ)への温かい気遣いからもうかがえるように、マクマーフィーはとても優しい人のいいヤツだったのだと。プラス、病院に限らず、学校でも介護施設でも、さらに職場でも国家でも、過度の管理は禁物。人間は人間。皆、自分の考えを持っているし、それを表に出す権利もある。写真はWikipediaより。