「恐怖のメロディ」(クリント・イーストウッド監督、1971年、アメリカ)
邦題「恐怖のメロディ」(監督 クリント・イーストウッド, 1971, アメリカ)。人気俳優クリント・イーストウッドの監督デビュー作。当時はまだ定義する言葉がなく「頭がおかしい人」くらいにしかとらえられていなかったストーカーに、自身も落ち度がなかったわけではないものの出会ってしまった男の困惑と恐怖を、カリフォルニアはモントレーの美しい景観と共にえがく。(あらすじ)地元のラジオ局でDJをつとめるデイブ。担当番組に決まってジャズ・スタンダード「ミスティ」をリクエストしてくる女性がいた。その女性イブリンとバーで出くわしたデイブは、成り行きで1夜を共に。デイブは全くの遊びだったが、イブリンはそうではなかった。翌日からイブリンはデイブに付きまとい始め、やがて常軌を逸した言動に、デイブはもとより、恋人のトビーなど、デイブの周りの人間をも巻き込まれていく、、、。まずは、当時アラフォーに足を踏み入れたばかりだったクリント・イーストウッドの、水もしたたるイケメンぶりが見もの。バシッと決めたスーツ姿も、ブリーフをはいただけのセミ・ヌード姿も、どちらも絵になる。そんなクリントにしつこく言いよるイブリンを演じたジェシカ・ウォルターの、時に狂気を感じさせる演技がまた迫真度200点。80年代に大ヒットした「危険な情事」に共通する怖さを秘めた映画だ。