まずは世継ぎの男子を。
(注)8月16日に書いた記事。
マルガリータ・テレサ・デ・エスパーニャ(画 ベラスケス, パブリック・ドメイン)。
輝く金髪、つぶらな瞳、うっすらとバラ色の頬、愛くるしい表情、幼いながらも気品あるポーズ。17世紀のスペイン王女、マルガリータ・テレサの2歳か3歳頃の肖像画。
スペイン絵画絶頂期を代表する画家ベラスケスの手による。
私が、彼女を知ったのは、元はピアノのために作られたラヴェルの「なき王女のためのパヴァーヌ」を聴いたのがきっかけ。
ラヴェルは、ルーブル美術館に飾られていたマルガリータ王女の画を見てインスピレーションを得、作曲に取りかかったと言う。
マルガリータの生涯は、しかし、この曲の旋律のように美しいものではない。
もともと伯父と姪だった両親が政略結婚で結ばれ、その間に生まれた彼女も勝手に縁談をまとめられて、15歳にして、何と母の弟、すなわち叔父と結婚させられた。二重の近親婚である。
それが影響したのかどうか、結婚生活6年間の間に6人もの子をもうけたのに、成長したのは1人。
プラス、十代半ば頃からの毎年の妊娠出産は、決して丈夫ではなかった彼女の身体に多大な負担を与えたことだろう。
21歳で迎えた末の子のお産の予後が悪くて回復が難しいとされるや、まだ生きているマルガリータのまわりで、早くも夫の再婚相手探しの話が進行する。
マルガリータの無事に育った唯一の子は、王位継承権のない女子だったのだ。
時代もあったのだろうけれど、身分のいかんを問わず、女性は結局まずは世継ぎの男子を産むことが求められた。
何だかなあ、、、。
哀しいね。