「黒衣の女〜ある亡霊の物語」(スーザン・ヒル原作、河野一郎 翻訳)。、
(注)12月5日に書いた記事。"The Woman in Black"(Aushor Susan Hill, Translator Ichiro Kono)邦題「黒衣の女〜ある亡霊の物語」(原作 スーザン・ヒル、翻訳 河野一郎)基本的に怖がりで、幽霊や化け物が出てくる怪談はもとより怨念に満ち満ちたタイプのミステリーも苦手なら、多分に呪術的要素を持ち超自然現象連発のオカルトもダメ、ましてホラーなどとんでもない派の私だけれど、なぜかしら時折り「不気味な」オハナシを読みたくなるんだな。これもそう。イギリスの湿地帯にある某田舎町を舞台に、過去と現在を行きつ戻りつ展開される1人の女の愛憎物語を通じ、作者は読む者に素朴な疑問と不安をジワジワと感じさせながら恐怖度を段階的に高めていき、アッと驚く結末でその頂点に達する、という見事な手法を用いている。素直に怖い。(あらすじ)若き弁護士アーサー・キップスは、勤務先のボスに命じられ、とある湿地帯に住むドラブロウ夫人の遺産整理のため、霧深い11月のある日、その地を訪れる。夫人が残した膨大な書類に目を通すため、アーサーは夫人が1人で暮らしていた館に泊まりこんで仕事を始めるが、時折り黒衣をまとった女が現れ、同時に奇怪な現象が相継ぐのだった、、、。長らく絶版となっていたこの本、10年前の映画化(コメント欄に予告編をアップ)を機会に、ハヤカワから再刊されたとか。原作もさることながら、自然な日本語でつづられた翻訳文も素晴らしい。